マンダムの2024年3月期は、将来の成長を左右する重要な年になるかもしれない。同社は23年4月1日、ジョブ型の新人事制度を導入した。22年8月に「ジョブ×キャリア自律を起点とした人事の仕組み改革(Mandom HR Transformation、以下MHRX=マークス)」に着手。グループの価値創出に向け変革・挑戦できる組織と人材の創造が目的で、その一環として等級・評価・報酬制度などを全面刷新した。さらにMHRXを推し進めるために、スピーディーな意思決定、部門間連携のスムーズ化を図る新しい組織体制に移行。その目玉として、長期視点で新たな取り組みができる仕組みづくりや資本効率を考えた取り組みの検討、会社の本質的な風土改革など、既存組織の外に専任部署「経営改革室」を新設し、西村健社長が初代室長に就いた。西村社長はマーケティング統括も兼務しており、多様なポジションでリーダーシップを示している。21年4月に始まった第13次中期経営計画(MP-13)は今期が最終年度。MP-14は、21年4月に社長に就いた西村社長にとって策定タイミングとしては初の中期経営計画であり、その重要性は論をまたない。人事制度と組織の刷新、次期中期経営計画への思いについて、西村社長に話を聞いた。

ドラスティックに変化できる組織力と人財力を育む

――ジョブ型人事制度は、期待通りの変化が生まれていますか。

西村 すぐに結果が出る取り組みではありませんが、まずは管理職直前の若い社員がポジティブな影響を受けています。これまでのように年功序列が色濃い人事制度は、過去の経験、結果に対して報酬を支払う仕組みです。しかし、足元を見ると、生活者のニーズ、購買行動、市場の変化は激しく、未来からのバックキャスティングでイノベーションを起こさなければ、企業は生き残れない。ジョブ型人事制度を導入することで、年齢や性別に関係なく、責任ある役職に就き、職責に応じた報酬になりますから、能力とモチベーションが高い人材がビジネスの最前線で活躍するようになります。とはいえ、ジョブ型の導入は若手の抜擢が目的ではありません。社員一人一人のスキルやライフスタイルに応じて役職を与えることで、個々の専門性を高めるとともに組織の活力を引き出すことが大事です。一度年齢制限で役を降りた後、新制度で再び評価されて部長職になった社員も出てきており、組織に新しい風が吹き始めたことに手応えがあります。

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