コーセーは、小児アレルギーの専門医療チームと共同で実施している「妊婦への教育介入による赤ちゃんのアレルギー発症予防に関する研究」において、同社が研究資材として提供した乳液型のスキンケア製剤が生後3日以降の新生児(生後28日までの赤ちゃん)にも安全に使用できることを確認した。また、一般的に乾燥しがちである赤ちゃんの肌に対し、4ヶ月間の継続使用により肌の水分量が増加することが確認できた。

近年、子どもたちの成長過程において、適切なスキンケアを行うことの有用性が広く知られるようになっている。特に、乳児期のスキンケア習慣は、肌を健康に保つだけでなく、アトピー性皮膚炎や他のアレルギー予防にも繋がる可能性があり、生涯にわたる QOL の向上に資することが期待されている。

同社では、2019年より医療機関の小児アレルギー専門チームと共同し、妊婦へのスキンケア習慣・栄養・生活環境に関する教育の実施が赤ちゃんのアレルギー予防に繋がる可能性を検証する研究に取り組んできた。このたび、その研究過程で当社が提供するスキンケア製剤が生後3日後からの新生児でも安全に使用できる知見が得られた。

図1 新生児でも安全に使用できるスキンケア製剤の確認と肌の水分量の変化

臨床研究に参加した新生児のうち89名が、当社から提供したスキンケア製剤を用いて生後3日目から家庭でのスキンケアを開始。89名中51名は全身に週5日以上、1ヶ月間使用を継続し、そのうち30名は計4ヶ月間使用を継続した。使用期間中に当社が提供したスキンケア製剤が原因となった皮膚の赤みと湿疹の発生は1件にとどまり、医師の診断と指導により、スキンケア製剤の使用量を減らすことで、肌トラブルは改善された。

なお、継続しなかったいくつかの家庭に理由の聞き取りを行ったところ、使い切った後に新しい製剤を受け取りに行く時間がないなど、肌トラブルによるものではないことが確認できた。以上の結果から、今回提供したスキンケア製剤は新生児期の赤ちゃんが安全に使用できるという結果が得られた(図1)。

図2 新生児と成人の肌の水分量の比較

新生児の肌は、水分量が少なく乾燥しやすいことが知られている。今回、実際に生後3日目の新生児の肌の水分量を当社が保有する成人のデータ(20~60代の219名、平均年齢37.5才、男女比1:2)と比較してみると、新生児の肌の水分量は成人の約3~4分の1程度であることが分かった(図2)。

このように乾燥しやすい新生児の肌に対し、今回の研究において提供したスキンケア製剤を4ヶ月間継続して使用した赤ちゃんは、身体の各部で水分量が増加していることが分かった(図1)。

図3 これまでの敏感肌に向けた研究と現在の臨床研究のつながり

本試験で提供したスキンケア製剤は、25年以上になる当社の敏感肌に向けた研究が応用されている。1995年に発売された敏感肌向けのセブンフリー処方(刺激になりうる7つの成分種をできる限り低減した処方)を実現した製剤・保証研究をはじめ、2002年には皮膚科医と連携してアトピー性皮膚炎の寛解期(一時的に症状がおさまっている状態)の患者でも使用できることを確かめたスキンケア処方を開発した(図3)。

このような研究知見を応用したのが今回のスキンケア製剤であり、生まれたばかりの新生児の肌でも安全に使用できることを確認することができた。

本研究により、生後3日以降の新生児でも安全に使用することができるスキンケア製剤を、医療機関と共同で確認することができた。この研究成果は今後のスキンケア商品に応用される。今後も新生児や子どもの皮膚に関する研究を継続し、スキンケア習慣と子どもの成長過程におけるQOLやアレルギー予防への影響を明らかにしていく。また、そうして得た知見をスキンケア製剤の研究と連携させ、一人ひとりのお客さまが安心して使える商品の開発に繋げていく。