〝92年コンセンサス〟というものがある。1992年中国と台湾の代表が合意文書の署名をめぐる協議で交わされたもので、中国側は早速これを「一つの中国の原則を双方が認めた92年コンセンサス」と呼んだが、台湾当局は数年後にその存在を認めたものの、「一つの中国は堅持するが、その中身の解釈はそれぞれ異なる」として、「一つの中国」は「中華民国」を指すと説明した。中国側はその解釈が異なることを黙認した。それもあり、台湾国民党・馬英九氏の総統時代、92年コンセンサスをベースに、習近平主席と歴史的なシンガポール首脳会談(2015年11月)が実現した。しかし台湾民進党の蔡英文氏が総統に就任した16年以降、民進党政権は、そのようなものは存在しないとしている。

来年1月の台湾総統選挙で、92年コンセンサスが争点の一つになりそうだ。3月末から4月初めにかけて中国は、馬英九氏を招待、12日間もの長旅になった。同じ時期、蔡英文氏はアメリカ経由で中南米を訪問した。前総統と現総統二人とも名前に「英」の字が入っているので、別々の訪問なのに、台湾では「双英の外遊」と揶揄された。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

ログイン