果たして米中冷戦になるのだろうか。私はこの連載で、冷戦にはならないとしてきたが、ここ数カ月の流れを見ていると、ますます冷戦には向かわないとの思いを強くしている。
そうなのだろうか、との疑問を持つ人は多いかもしれない。アメリカは、バイデン政権になっても中国批判を続けているし、中国もアメリカの姿勢に反発している。3月にロシア、イランと外相会談をして、アメリカに対抗する陣営強化を図っている。かつて25年前、カーター大統領の時代、国家安全担当の補佐官だったブレジンスキーが、「アメリカにとって地政学的悪夢は、ロシア、中国、イランが組むことだ」と警告を発したことがある。ユーラシア大陸の中心に位置するこの3カ国が組むとなれば、アメリカの影響力が決定的に低下するとした。だから、この3カ国を切り離すことをしてきた。例えば旧ソ連、ロシアに警戒心を持ったときは、中国を抱き込み、経済援助をしていく。イランの核問題についても、つい最近までは、他の国に同調し、核開発を封じ込めることをやってきた。
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