同社は社名にも採用した「アンチエイジング」にいち早く着目し、化粧品事業からビジネスを開始。バームという新しい剤型を採用した「デュオザクレンジングバーム」は多くのお客から支持され続け、3年連続クレンジング市場売上No.1を獲得し、クレンジング市場に新たなカテゴリーを創出した。
「人の時間(とき)を、解き放つ。」という経営理念のもと、アンチエイジングを軸とした事業領域の拡大を進め、お客のまだ満たされていないニーズに着目した“悩みに寄り添う商品づくり”を心がけたブランドビジネスを展開し続けているとして、同社事業モデルと知財活用実例が掲載された。
同社は、アセットライト経営(資産の保有を抑えて、財務を軽くすることを目指す経営)を推進しています。そのため外部知財を活用して企業価値やブランド力の向上に貢献するかを知財戦略の一つとしている。
例えば、特許と論文情報をもとにまだ実用化が限定的な萌芽領域にある「木質流動成形加工」に注目し、2022年には「DUO(以下、デュオ)」に使用するスパチュラを、世界初の木質流動成形加工技術を活用することでプラスチック量削減に挑戦した。
木質流動成形加工は、金山公三氏(京都大学名誉教授)が09年に開発し、世界初の技術として論文発表を行い、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)が基本特許を所有している。その後、産総研とチヨダ工業株式会社(以下、チヨダ工業)が共同研究を進め、現在はコスト面の課題に取り組み、実装に向けて進んでいる。
女性リーダー活躍による新ブランドの成功例も注目だ。22年に誕生したヘアケアブランドの「clayence(クレイエンス)」は発売からわずか1年でヘアカラートリートメントブランド別売上ランキングNo.1を獲得するほど支持を集めている。
30~40代の若年層の髪の悩みのひとつとして白髪が挙げられている中、若年層の悩みにも真摯に向き合い商品開発。若年層でも使いたいと思える、ネガティブになりがちな白髪ケアを楽しみながらケアできるデザインやパッケージにこだわっているのが特徴だ。容器についても女性ならではの細やかな視点を生かし、使用の際に利便性が高いことと、余すことなく最後まで使い切れることを両立した商品開発をした。
また、同社が積極的に進める薄型容器については、「クレイエンス」のカラートリートメントの容器でも開発が進められた。「デュオ」のクレンジングバームの薄型化と同様に、環境負荷低減の観点から配送時の宅急便コンパクトサイズに入るように、容器を独自開発し、同容器は知的財産の面で、立体商標(登録6605917号)を活用している。「クレイエンス」は女性リーダーが着想し、社内を牽引して実現した成功事例であり、女性活躍の推進を目指すプレミアアンチエイジングの経営姿勢の大きな特徴だといえる。
同社は20年にマザーズ上場を実現して以降、より一層のグローバル化に則ったESG経営を目指しており、2022年8月にはサステナビリティの更なる強化・推進を目的にサステナビリティ推進委員会を設置し、各領域でサステナビリティの施策を実施している。
Environmentの面では、CO2削減やプラスチック使用量の削減を推進。Socialの面では、23年に「健康経営優良法人」の認定を得られ、国際女性デーへの参画や経済的に困難な立場の女性への支援活動として化粧品の寄付などを継続的に行っている。
また、積極的な女性活躍も推進しており、新ブランドの上市や育成においても、約6割を占める女性社員のアイディアがふんだんに生かされている。Governanceの面では、指名・報酬諮問委員会の設置、執行役員制度の導入などを行っている。