プレミアアンチエイジングが新たな環境対応に挑戦している。同社の人気ブランド「DUO」の「ザ クレンジングバーム」のスパチュラを、木を原料としたものに変え、日本の木材活用に役立てようというのだ。この取り組みでは、プレス金型成形において高い技術力を誇るチヨダ工業と国立研究開発法人産業技術総合研究所が共同特許を持つ、世界初の技術「木質流動成形加工」を取り入れた特製スパチュラを製造。DUOの公式オンラインショップ顧客及び愛知県名古屋市内の一部店舗にて、限定配布する。

6月14日には、スパチュラを製造するチヨダ工業の工場にてお披露目会を開催。同会で登壇したプレミアアンチエイジングの河端孝治取締役常務執行役員は、これまでDUOで行ってきた環境配慮の歩みについて説明した後、「アンチエイジングという領域において社会に貢献しようとしている我々が、高齢化すなわちエイジングが加速している森林を活用できないかという観点から取り組みを検討しました」と今回の挑戦に至った背景を語った。

木質流動成形加工について詳しく紹介したお披露目会

木片を含む原料をプレスし、スパチュラへと成形する

同会では、チヨダ工業の山田哲也技術員とともに、画期的な木造加工法を生みだした京都大学名誉教授の金山公三氏も登壇し、この木質流動成形加工と、具体的なザクレンジングバームのスパチュラ成形について解説した。同技術では、金型とプレス機を活用することで、変形加工を可能とし、ごく少ない量のプラスチックとともに、複雑な形状あるいは非常に薄いものなど自由度の高い木材加工を可能とする。

今回、この方法でスパチュラを成形することで、従来のものよりも約70%プラスチックを削減できるという。今回のスパチュラには、焼却してエネルギーへと変化させる予定であった木材を使用している。理論的には、他の加工法が難しいような小さな木片からでも成形が可能であるため、今後廃材を原料にするなど、アップサイクルとしての活用にも期待が集まる。

プレミアアンチエイジングは、サステナリティクス社のESGリスクレーティングで日本の化粧品業界2位となる20.0の評価を獲得している。運送コストを低減させるための容器の改良、アップサイクル原料を採用するなど、これまでもさまざまな取り組みをおこなってきた。今回世界で初めての挑戦となる“木製スパチュラ”の成果を、今後の展開にもつなげていく考えだ。

月刊『国際商業』2022年08月号掲載