JPモルガン証券 桑原明貴子/三菱UFJモルガン・スタンレー証券 佐藤和佳子

差別化が鍵の化粧品 コスト増に悩む日用品

――化粧品・日用品メーカーの2022年12月期の業績が出そろいました。まずは2022年の化粧品市場の総括と23年の展望を聞かせてください。

桑原 国内化粧品市場は22年3月を底にあらゆるチャネルで回復が見られました。例えば、百貨店は7〜9月期の店頭売り上げが前年同期比約18%増。10〜12月期が1桁半ばと鈍化しましたが、23年1〜3月期は1桁台後半まで戻しています。同チャネルを主戦場とする高価格帯ブランドは、おおむね堅調であったと理解しています。

佐藤 コロナ前、働く世代の女性は終業後に百貨店でカウンセリングを受けながら化粧品を購入するルーチンがありましたが、コロナ禍で在宅勤務が増え、購入活動が変わり、高価格帯も停滞したのではないか。昨年4〜6月期から人流が戻り始め、それに伴って高価格帯も回復が見られたとはいえ、それは前年のハードルが低かったからで、本格的な回復はこれからでしょう。ただし、インフレが進む中で化粧品に優先的にお金を使う状況でもないと思います。世代別の家計調査を見ると、これまで高価格帯化粧品を支えていた50代の実収入が減っている。それに続く40代の収入も伸びていない。これらの世代がボリュームゾーンであるエイジングケアカテゴリーは停滞する可能性があります。一方で、20〜30代の共働き世帯、いわゆるパワーカップルは最も世帯収入が伸びており、ビューティーに対する支出の伸び率も高い。おそらく、このような消費者が今の化粧品市場のけん引役になっていて、この需要を取り込んでいる高価格帯ブランドが好調なのだと思います。その代表格がコーセーの「デコルテ」でしょう。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

ログイン