ライオンと東京都台東区は3月13日、包括連携協定を締結した。同日、台東区に今春移転したライオンの新本社ビルで締結式を開催。健康づくり・歯科保健対策、環境対策・製品再資源化、男女共同参画社会の推進、子供・若者の健全な育成、防災対策、観光の振興、スポーツの振興の7分野を中心に連携・協力を図る。

台東区の服部征夫区長は「ライオン株式会社が培ってこられたリソースをご提供いただき、区民の健康増進、地域共生、持続可能な社会を実現したい。効果的・効率的な施策を展開するには、民間企業のサポート、連携が大変重要だ」と協定締結の目的を説明した。

ライオンの小林健二郎取締役兼上席執行役員は「台東区に本社を移転するにあたり、地域社会への貢献と、グループ社員の経験、やりがい向上を目的として、いろいろな連携プロジェクトを提案させていただいた。幅広い分野の提案に対し、すべて前向きに取り組んでいただけることになり、感謝とともに身の引き締まる思いだ」と語った。

具体的な活動としては、健康づくり・歯科保健対策では、保育園などの職員を対象にした乳幼児期の歯科保健指導や、区主催イベントの健康ブースへの出展、区や健康推進委員が主催する健康学習会への講師派遣を実施。区民の健康づくりへの関心を高め、普及啓発を目指す。

環境対策・製品再資源化に関する取り組みでは、ハブラシリサイクルの実施や生物多様性についてのシリーズ講座を開講する。

男女共同参画社会の推進では、「kaji×kaji ハッピーシェアプロジェクト」で「ハッピー家事シェア」セミナーを実施。家事の実態についての講話や家事レクチャーを行い、家庭生活を支援する。

子供・若者の健全な育成と健康づくり・歯科保健対策に関する取り組みでは、「おくちからだプロジェクト」で、例えば子ども食堂などで「歯と口の健康」をテーマとした体験キットを提供。歯と口の健康を通じて、自己肯定感の向上とオーラルケアの習慣化を目指す。

防災対策の推進では、災害時にライオン本社ビル1階のエントランスロビーで帰宅困難者を受け入れるほか、一人あたり3日分の備蓄品やオーラルケア製品を提供する。

観光の振興では、台東区は浅草や上野など観光が主要産業の一つであることから、同区の魅力に楽しく気づける観光商品を4月に発表する予定。また、スポーツの振興でも、ライオンの社会人ラグビーチームとの取り組みを検討中という。

ライオンの小林健二郎取締役兼上席執行役員は「区民の皆さまと社会課題について考え、その活動を通して学びを得て、全国規模の展開にしていきたい」と、今後のベンチマークとなる取り組みの実現に期待を込めた。

月刊『国際商業』2023年05月号掲載