吉松徹郎氏は、アイスタイルの生みの親だ。1999年7月に同社を設立し、社長に就任。それ以来、経営の舵取りをしてきたが、2022年9月26日付で会長兼CEOに就いた。一線から退くのではなく、足元の既存事業は遠藤宗社長兼COOに任せ、吉松氏は将来を見据えた中長期戦略に集中するという。米国アマゾン、三井物産との業務資本提携を実現し、既存事業の足場を固めることに成功した吉松会長に、これからのアイスタイルについて話を聞いた。
リアル店舗があるからキャスティングボートを握れた
――22年6月期決算会見で米国アマゾンとの提携理由について、巨大なECプレイヤーとの競争激化を念頭にアイスタイルが将来的に競争力を失うリスクを語りました。それだけ御社を取り巻く環境は変わっているのでしょうか。
吉松 新型コロナ禍は、いろいろな意味で世の中を10年進めたと思っています。例えば、なかなか浸透しないと言われ続けたECの利用が一気に進みました。そしてリモートワークが瞬く間に普及したように、日本の生活スタイルや働き方は様変わりしています。そこから見えてきたのは、リテールがとても重要であることです。コロナ前はEC化率が50%を超えるとか、リアル店舗が不要になるとか、多様な意見が飛び交いました。でも、コロナ下の変化を見て、私は、各エリアに店舗を構えることが重要であると確信したんです。
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