業務資本提携で示した新たな潜在成長性

インバウンド消失にマスクの着用と、コロナは化粧品業界に大打撃を与えた。その中でアイスタイルは、業績悪化の窮地を抜け出し、成長のチャンスを得ることに成功した数少ない企業と言える。主力の小売事業を手掛けるビューティサービス事業は、リアル店舗が復活し、ECが大きく成長。化粧品販売のOMOで先頭を走る。メディア・広告を提供するオンプラットフォーム事業も、生活者のブランドへの興味・関心を引き出す体験型コンテンツ活用が大きく進展した。店舗、ECとの連動も進んでいる。そしてグローバル事業は、不採算事業の整理・撤退に目処がつき、反転攻勢の機会をうかがっている。アイスタイルの吉松徹郎会長が「新しい化粧品の売り方の可能性が生まれた」と話すように、それぞれの事業を組み合わせた三位一体戦略に磨きが掛かっている。この改革の成果が8月15日に発表した米国アマゾン、三井物産との業務資本提携の成就へとつながったのではなかろうか。

とはいえ、コロナは当初、アイスタイルを窮地に追い込んだ。同社の創業は1999年。売り上げは初年度(2000年6月期)から20年間右肩上がりに増えた。それが一転、コロナが始まった20年6月期に減収に転落。それから3期連続の営業赤字が続いている。22年10月末には金融機関への約60億円の返済があり、手元資金が不足していたことから、多くの化粧品ブランドがアイスタイルの身売り、倒産を囁き始めた。吉松会長も「赤字が続き、資金繰りはギリギリだった」と苦しい胸中を打ち明けている。

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