ミルボンと大阪公立大学は2022年7月1日、大阪公立大学大学院医学研究科に共同研究部門(部門名:薬物生理動態共同研究部門)を開設した。設置期間は22年7月1 日 ~ 27年6月30日の5年間だ。

高齢化・長寿化が進む現代社会において、生活者が生涯健康な状態で生活できることが非常に重要であり、さらにQOL(Quality of Life:生活の質)向上のためには外見の印象も大切とされる。ヒトは加齢に伴い細胞が老化し、毛髪や頭皮の状態が変化。これらの変化が顕著に進むと外見の印象にも大きく影響を与える。一方で、変化が顕著となる前に効果的な対策を講じることができれば、美しく健康的に歳を重ねることが期待できる。

同部門では、肌や頭皮、毛髪の変化に対して、皮膚病態学および分子生物学の手法を用いた基盤研究をもとに、老化メカニズムや薬剤の応答性の研究を行う。また、同大学大学院医学研究科皮膚病態学講座(鶴田大輔教授)などの臨床講座と連携し、新しい皮膚炎症制御法や育毛・発毛法の有効性を検証するための臨床研究を行う。

ミルボンは、美しい毛髪を育む土台として健やかな頭皮を維持することが重要であることに着目し、これまで研究や商品開発を進めてきた。その取り組みの中で、20年から大阪市立大学(現大阪公立大学)大学院医学研究科皮膚病態学講座と共同研究を開始し、さまざまな薬剤の応答性に関する研究を実施。

今回、大阪公立大学とミルボンとの産学連携をより一層強化し、協働で皮膚病態学的および分子生物学的な基盤研究を推進させるため、共同研究部門の設置に至った。頭皮や皮膚に関連するメカニズム解明や有効性研究を協働で行っていくことで、髪や頭皮、肌に悩みのある方のQOLの向上につなげられるような社会貢献性の高い研究活動を進めていく考えだ。

大阪公立大学大学院医学研究科薬物生理動態共同研究部門の小澤俊幸特任教授は、今回の共同研究部門開設について以下のようにコメントしている。

「皮膚は体液の漏出を防ぐためのバリアとしての機能だけでなく、外界から内臓を守る臓器の一つと捉えることができます。さらに肌や頭皮と毛髪などは個人の見た目を大きく左右する要因の一つであり、事実、薄毛や皮膚疾病で悩まれている患者様が大勢います。私どもは、皮膚病態学的・生化学的な視点から皮膚とその周辺器官である毛髪の生理活性や薬物動態の機能を解明し、未病状態のうちに皮膚およびその周辺器官の環境を健康に戻すことで重大疾患の発症や進行を未然に防ぐ未病医療を確立することを目標として、健康長寿社会の実現に向けた研究活動を展開してまいります。本共同研究講座の開設により、大学と企業が協働することで、社会実装性の高い研究成果につながることを期待しています」