6月7日、ミルボンは、美容市場のDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けたデジタル施策をテーマに「事業説明会」をオンラインで開催した。

ミルボンがDXを加速する背景には美容業界を取り巻く課題解決がある。日本で進む少子高齢化・人口減少は美容室にも大きな影響を与え、客数減や採用難が常態化。それがコロナ禍で、美容室では集客が困難にあるなど、さらに課題が表面化している。このような状況の中で、対面での接客が基本である美容室が生産性を高めるためには、デジタルの活用が不可欠となっている。

「そもそもコロナ以前からデジタル化の波はあった。そうした流れの中で、リアルの強みとデジタルの価値を新たなバランスで組み合わせていくことによって、より付加価値の高いサービス、本質的な価値をお客さまに届けていくことによって、もっともっとお客さまに美容室として寄り添っていく。そうしたバックボーンをミルボンとして作っていこうと考えた」と佐藤龍二社長は説明した。

リアルの強みとデジタルの価値を融合した、ミルボンが進めているデジタル戦略は四つの柱からなる。美容室出店型の公式オンラインストア「ミルボンID」を始め、集客につなげるため美容室の商圏分析を支援する「エリアマーケティングサポート」、美容師のためのオンライン学習ツール「エデュケーションID」を順次スタートさせてきた。そして四つ目の柱となる世界中の美容師をつなぐ新たなバーチャルイベントスペース「ミルボンデジタルアリーナ」がいよいよスタート。6月14、15日の両日ローンチイベントを開催する予定だ。

「ヘアカラー、ヘアケア、スキンケアなどの技術的な面はエデュケーションIDで対応できるが、ヘアスタイルなど感性が求められるデザイン技術を高めるには美容師同士のコミュニケーションが求められる。美容師同士が切磋琢磨する学びの場としてデジタルアリーナを用意した」(佐藤社長)

月刊『国際商業』2021年08月号掲載