爆買い需要から戦略的なインバウンド誘導へ
2010年代、日本の化粧品売り場の状況を覚えているだろうか。観光地はもちろんのこと、主要都市にあるインバウンド向けの大型免税店に団体旅行客のバスが横付けされ、レジに列をなしていた。百貨店の化粧品売り場には大勢のアジア旅行客がいて、カウンターに座るのは日本人のほうが少ない。ドラッグストアでも、中国人がスマホを片手に店員に話しかけ、目当ての商品を探している――。そんな光景も、コロナですっかり様変わりし、どの観光地もわずかな国内客がいるばかりの2年間が続いたが、22年6月、ようやくアフターコロナの兆しが見え始めている。インバウンド復活もささやかれる今、かつてのインバウンド特需を時系列にそって思い出してみる。
「インバウンド」や「爆買い」の始まり自体は10年代初期からだったと見られるが、そのピークは15~18年であろう。観光庁および日本政府観光局(JNTO)が発表している訪日外国人数の推移や消費額を参照してみると、LCCの増加、アジア諸国の経済成長などを背景に、12年以降、その数は前年比20%以上で順調に増加しつづけ、15年にはついに出国する日本人の数を、日本を訪れる外国人の数が上回った。また、消費額では中国人の増加が顕著で、14年は前年比102.4%増、15年は同153.9%増と桁違いの伸長となった。
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