花王の日用品値上げ宣言が話題になっている。2022年2月3日に行った21年12月期決算発表会において、花王の長谷部佳宏社長は「戦略的な値上げ(納入価格)を断行する」と明言。昨今の食料品の価格上昇を引き合いに、日用品の価格は据え置くものという日用品業界の商習慣を強く疑問視。「リーディングカンパニーである私たちが勇気を持って(値上げに)乗り出す」と不退転の覚悟を示した。
実は、長谷部社長は、半年前の決算発表会で値上げを完全否定していた。この考えを180度転換させたのは、原材料と物流費の想定外の高騰にある。同業のライオンの決算資料によると、ドバイ原油は20年が42.4ドルで、21年は69.2ドル。22年の想定は75ドルだが、2月18日時点で90.5ドルと想定との乖離が大きい。同様に国産ナフサ、粗パーム油も大幅上昇を続けている。花王は、原材料と物流費の高騰による減益は、21年が160億円で、22年は170億円を見込む。170億円の内訳は、原材料が110億円で、物流費が60億円。コストダウン活動の強化で、前者は7割(約77億円)、後者は全額をカバーするとしているが、それでも約30億円のマイナスインパクトが残る。企業努力では対処できないコスト増により、納入価格のアップに手を付けざるを得ない状況がうかがえる。
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