オープン後も製販一体を重視
――オープンから半年が過ぎましたが、ブランドとどのような連携をされていますか。
竹井 ゾゾコスメはスタートしたばかりですから、コスメブランドさまにもゾゾタウンの仕組みや考え方を知っていただけるよう、積極的にコミュニケーションをとっています。例えば、ゾゾタウンでは年2回、ビッグセール「ZOZOWEEK(ゾゾウィーク)」を開催しています。アパレルブランドさまはセールなどにも何度も参加されている場合が多いので、あうんの呼吸で施策の連携をとることができますが、コスメブランドさまは「そもそもゾゾウィークとは何か」「参加すると、どのように、どこに、どのようなバナーが表示されるのか」など、丁寧にお伝えする必要があります。こうした施策を含め、ゾゾタウンに対する理解を深めていただきながら、2年目、3年目には、製販一体の取り組みにも結び付けていきたいと思っています。
新井 ここでも共感の輪を広げることが大切なんです。例えば、アパレルブランドさまがゾゾウィーク時に活用している「2buyポイント還元」などのキャンペーンは、価格よりも価値の訴求を最優先に考えるコスメブランドさまには必ずしもなじみません。そこで2回目の購入時にポイントを還元する「カムバックポイント」のような仕組みを、コスメブランドさまにご提案しています。このような積み重ねがゾゾコスメの魅力を高めることにつながると考えているので、常にコスメブランドさまの声に耳を傾けることを意識しています。
豊田 以前、私はゾゾウィークの担当者だったのですが、ゾゾウィークも最初から順風満帆にスタートしたわけではありません。アパレルブランドさまも、ポイント還元やタイムセールなどのキャンペーン施策で得られる効果を検証し、一緒にPDCAを回すことで、共感の輪が広がっていったんです。ゾゾコスメでも同じように、焦らず丁寧にコスメブランドさまと協業することが最優先です。それがコスメのブランディング強化に最適なECモールへの近道だと思います。9月15日から行った「ゾゾウィーク」ではコスメも取り上げましたが、その内容は今後もどんどん進化すると思います。
新井 その点で言えば、ゾゾコスメの価値を理解していただくために役立っているのが、限定キットとサンプリング施策です。先ほども申し上げたように、ゾゾタウンには若いお客さまがたくさん集まっており、いろいろなブランドの商品を試してみたいというニーズがあるので、ゾゾコスメの限定キットへの反応がとても良いんです。オープン時から多くのコスメブランドさまが限定キットを展開し、好調な結果が出ています。また、サンプリング施策では、コスメを購入したお客さまだけでなく、ゾゾタウンでアパレルを購入したお客さまも対象に、配送用の箱の中にコスメサンプルを入れています。お客さまにゾゾタウンでコスメが買えることを知っていただくことができますし、コスメブランドさまには新しいお客さまと出会う機会になります。お客さまがサンプルを受け取った後の行動は、これからデータ分析していきますが、有益な情報、仕組みをコスメブランドさまに提供していきたいと考えています。
青木 マーケティング施策では、このほかにも、コスメ未体験のユーザーにコスメを手に取っていただくきっかけとなるよう、さまざまな施策に取り組んでいます。
豊田 ゾゾタウン上でのアパレルとコスメを掛け合わせた施策として、定期的に「#TREND WORD」企画を行っています。例えば、9月は、三つのコスメブランドさまのメイクアップアーティストに秋のファッションにあったメイク動画を作っていただきました。アパレルとコスメが融合したファッショントレンドの発信として注目いただきました。
平井 ZOZOらしい取り組みを続けることで、ゾゾコスメの認知を広げていくとともに、ゾゾタウンに興味を持っていただけるお客さまも、もっと増やしていきたい。
新井 コスメはコロナ禍で販売の要である店頭体験の提供が一部難しくなっています。私たちとしては、コロナが落ち着いた後に店頭での体験価値とのシナジーを発揮するような、ECでのフレグランスやスキンケアの体験価値をつくっていきたいです。セルフケア意識が高まっているのを見て、ゾゾコスメで何ができるのかをすごく考えるようになりました。
平井 今後もより多くのコスメブランドさまに出店していただきたいと思っておりますので、より一層、営業チームと事業推進チームが連動し、コスメブランドさまと共にゾゾコスメを盛り上げていきたいと考えています。★
月刊『国際商業』2021年11月号掲載