ZOZOの2021年3月期通期業績は、売上高が前年比17.4%増の1474億200万円、営業利益が58.3%増の441億4400万円、経常利益が60.6%増の443億8600万円、親会社に帰属する当期純利益が64.5%増の309億3200万円と、大幅な増収増益となった。商品取扱高は21.5%増の4194億3800万円となり、商品取扱高と営業利益が過去最高実績となった。コロナ渦でデジタルシフトが進んだことで、ブランド各社が自社ECの活用をより積極化する等、事業環境への追い風が吹いた。
主力事業「ZOZOTOWN」において、20年度に新規出店したショップ数は225ショップ(純増131ショップ)となり、期初計画に対して順調に推移した。なお、第4四半期連結会計期間に新規出店したショップ数は79ショップ(純増35ショップ)だった。主な新規出店ショップは、「POLA」「Estee Lauder」「JO MALONE LONDON」等のコスメブランドや、「Chloe」「MAISON MARGIELA」「JIL SANDER」等のラグジュアリーブランド、双子のインフルエンサーがディレクションを務める「jumelle」等だ。
また、第4四半期連結会計期間において、アクティブ会員数が前年同期比および前四半期比でそれぞれ増加したことにより、年間購入者数も増加。アクティブ会員数の順調な増加は、新型コロナウイルス感染拡大に伴うデジタルシフトにより新規アクティブ会員の獲得が好調であることに加え、21年1月の年始本セール期間のTVCM放映や、21年3月の「ZOZOCOSME」および「ZOZOVILLA」開始に伴うZOZOTOWNリニューアル時のTVCM放映を含む各種プロモーション施策により、集客を強化したことが要因。
今後は技術ライセンス販売のほかにパーソナライズサービスの拡充、生産支援を成長戦略に掲げる。22年3月期の業績予想は、売上高が10.3%増の1626億円、営業利益が8.3%増の478億円、経常利益が7.7%増の478億円、親会社株主に帰属する当期純利益が7.7%増の333億円を見込む。商品取扱高は12.7%増の4728億円を見通す。
オンライン決算発表会で澤田宏太郎代表取締役社長兼CEOは、ZOZOCOSMEについて「非常に良い滑り出しを見せており、今後もしっかり投資をしていきます」とし、「お客さまが望むブランドはだいたい分かっているので、そのブランドに出店いただく戦略を立てていく」と述べ、新規ブランド獲得への意欲を見せた。ZOZOCOSMEはローンチ時より国内外の500以上のコスメブランドを取り扱っており、女性アクティブ会員比率が7割を占めている。今後は、コスメとの親和性の高いユーザーをすでに抱えているZOZOTOWNにおいて、同カテゴリーの商品取扱高拡大を目指す考えだ。