コーセーコスメポートのビジネスモデルが変わり始めた。その旗振り役は、佐々木秀世取締役マーケティング本部副本部長である。コーセーの戦略ブランド、コンシューマーブランドの多くを手がけたのち、2020年3月25日にコーセーコスメポートに着任。変化の激しいセルフ市場において、同社のブランド、商品の存在感を高めるべく改革に動き始めた。その一方で、21年3月21日付けで、コーセーの執行役員を兼務することが明らかになった。国内の一般化粧品市場において、コーセーグループ全体の競争力を高めるキーマンの一人になるに違いない。コーセーコスメポートは、どのような会社に変わるのだろうか。佐々木取締役に率直に聞いた。

既存事業のイノベーションと将来への種蒔きを両立

――コーセーコスメポートの現状を、どのように分析していますか。

佐々木 私が着任した直後の20年4月7日に最初の緊急事態宣言が発令されました。当時は、新型コロナウイルスへの知見がほとんどなく、街から人が消え、リモートワークが一気に普及したのは記憶に新しいと思います。もちろん、私は強い危機感を抱いたものの、冷静に足元のビジネスについて考える時間を得ました。コーセーではジルスチュアートやアディクションなどの戦略ブランド、雪肌精などのコンシューマーブランドを担当し、海外現地会社にも赴任しました。そういった経験をもとに、コーセーコスメポート全体を俯瞰すると、ファブレスメーカーや中韓企業などとの異業種間競争の真っ只中にあり、その激しいつばぜり合いの中で、独自価値を磨き上げることが喫緊の課題であることが明らかになりました。もともとコーセーコスメポートは「カテゴリーナンバーワン宣言」を標榜し、各カテゴリーで強い商品を1品持つことに力を注いできました。それをワンステップ進化させる形で、私が赴任する1年前に「ビューティシフト」という戦略を打ち出したのですが、その方向性は正しいと考えています。

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