全体最適に向け自動化に舵を切る井田両国堂

「これまで活用していた受発注のデータが2020年に関してはほとんど参考にならなかった」。化粧品専門卸の井田両国堂業務部の島田誠部長はこう語る。外出自粛、マスク着用の常態化によるリップを中心としたメイク需要の急激な減少、心身ともに健康であることに対する意識の向上とそれに伴う美容の考え方の多様化もあって、メイク、スキンケア、ボディケア、ヘアケアなど、あらゆるカテゴリーで受発注のバランスをとるのが難しい状況が続いている。

それに加えて、今回のコロナ禍は、SNSの影響力の大きさを改めて実感させるものでもあった。そこで発信された不確実な情報が生活者の不安をあおり、紙関連商品などの欠品がしばらく続いた。化粧品においても、その影響で急激とは言わないまでも、例年と比べて需要が高まっている商品も増えているという。島田部長は「在宅勤務が増えたことで時間に余裕ができ、その一環でユーチューブをはじめとしたSNSに触れる機会が増えた人も多い。そこで発信される美容関連の情報との接点も増えたことがその要因の一つ」と指摘する。コロナ禍で健康意識が高まり、自身のメンテナンスにかけられる時間的な余裕もできた人が、美容系のSNSで情報を得ることで新規の購買につながっているケースが増えているというわけだ。これが品薄を招くこともあり、卸も在庫を厚くすることで対応するのだが、急速に高まった需要がブームとして続くこともあれば、逆に急激に減速することもある。これがより予測が難しい状況を招いている。

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

ログイン