光文社新書『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(税込1140円)〈著〉栗田路子・プラド夏樹・田口理穂・冨久岡ナヲ・片瀬ケイ・クローディアー真理・田中ティナ

世界中をほぼ同じように襲ったコロナ禍――それぞれの国のリーダー、専門家や市民社会がどんなふうに対応をしてきたのかを比べてみるのは面白い。トランプ前大統領(米)、メルケル首相(独)、マクロン大統領(仏)、ジョンソン首相(英)のことは日本のメディアでも時々伝えられるが、スウェーデン、ニュージーランド、ベルギーなどの小国のリーダーたちの声は届き難い。それを継続的に深堀りしたのが本書で、自国の行方に思いをはせる相棒になる。

「消毒薬を注射してそれが肺に届けば瞬時にウイルスを殺せる」とアンチサイエンスを振りかざしたタレント大統領トランプ氏は、弾劾の瀬戸際にある。当初は「ハッピーバースデーの歌を2回歌いながらせっけんとお湯で手を洗えば防御できる!」とおどけてみせた政界の道化師ジョンソン氏や、「われわれは戦闘に入った!」と勇ましい命令口調だった司令官マクロン氏も、事態の深刻化や自身の感染を機に、謙虚と共感の政治へと変容を見せた。これに対し、貫禄の賢母メルケル首相は、民主主義と科学の盟主として不動の指導力を示した。「開かれた民主主義のもとでは、政治において下される決定の透明性を確保し、説明を尽くすことが必要です」と聞いて、耳の痛い大国のリーダーは少なくないはずだ。

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