19世紀半ばにロンドンで創業したハロッズは、宝飾類から食品まで330の売り場部門に5000ブランドを取りそろえた英国を代表する高級百貨店として日本でも知られている。百貨店という名の通り幅広く何でも扱うことを誇りとして170年が過ぎた今、新しい業態への挑戦を宣言。この9月にビューティー商品に特化した「H Beauty(エイチビューティー)」をロンドン郊外の大型ショッピングセンター「INTU Lakeside(INTUレイクサイド)」内にオープンした。これまで国内では支店を出さず、空港内の免税店に加え、アウトレットショップとカフェをそれぞれ一軒ずつ持つのみだった老舗が、ビューティー部門のみを独立させた店舗を立ち上げたことが注目されている。

広大な店舗、AIも駆使して繰り広げるリテールテイメント

H Beautyのあるショッピングセンターは、ロンドンから東に車で1時間弱のエセックス州にある。店舗は2140平方メートルの床面積を誇り、ハロッズの頭文字を掲げるだけあってインテリアは高級感に満ちている。店のコンセプトは、ここを訪れること自体が顧客の目的となる「リテールテイメント空間」(リテールとエンターテイメントを合わせた造語)だ。典型的な百貨店の化粧品売り場とはかなり違う雰囲気で、「体験」を提供する仕掛けに溢れている。

店の入り口には、エセックス州にハロッズが来たということを強調する看板が置かれている

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