鋳物工場からスタートし、理美容椅子、歯科・医療機器、エステ機器、化粧品と順次新たな分野に参入し、事業領域を拡大してきたタカラベルモントが、2021年10月に100周年を迎える。一貫してプロフェッショナルを対象に事業を展開してきた同社の歴史はチャレンジの連続だ。現在は、パーパスを軸とした経営へと軸足を移し、タカラベルモントの企業価値と社会価値の両輪で未来に向けて新たな歩みを進めている。今年9月にはTWBC(Takara World Business Congress)も開催し、業界に対するイノベーティブな提案で活性化を図る考えだ。新型コロナ禍に揺れた20年に新たな指針を掲げ、業界への貢献を強めていくタカラベルモントの吉川秀隆会長兼社長に、同社のこれまでの歩み、業界に対する思いなどを語ってもらった。
臨店講習を動画に置き換え理美容師のモチベーションを維持
――2021年に創業100周年を迎えます。
吉川 1921年に鋳物工場からスタートし、その当時受注の多かった理容椅子の部品製造でノウハウを積み上げ、自社での製造に着手したところから理美容分野を基幹事業とし、理美容椅子をはじめとする理美容設備器具、さらにこれらを設置するための内装・施工を手掛けるようになりました。60年代後半には米国の理美容椅子製造企業コーケンを買収。日本企業が米国の同業企業を買収した初の案件でしたが、海外展開の足掛かりとなりました。油圧など理美容椅子で培った技術を応用し、歯科の椅子製造にも着手。当初は米国からスタートし、米国で実績を積んだことから、70年代からは本格的に医療機器分野に参入しています。理美容分野においては関連して、理美容サロン専売の化粧品ビジネスも開始。ミスクレイロール、ウエラ、ヴィダルサスーンといった名の通ったブランドをいち早く日本に投入しました。ただ、海外ブランドではそれぞれの本社の方針と日本の理美容のトレンドや嗜好性など、完全に一致させることはなかなか難しかったこともあり、77年には初の自社ブランド「LebeL(ルベル)」の販売を開始し、市場での浸透を図ってきました。現在、理美容サロン事業、化粧品、デンタル事業、メディカル事業の四つの柱で業界の活性化に取り組んでいます。
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