ポーラ・オルビスHDが2019年12月期決算を発表した。連結売上高は前年同期比11.5%減の2199億2000万円、営業利益は同比21.2%減の311億3700万円、経常利益は同比21.4%減の306億3000万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同比134.8%増の196億9400万円で、減収減益となった。売上高は、基幹ブランド「POLA」の国内インバウンド売上の減少が響いた。営業利益は売上高減による売上総利益減少が影響。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に計上した「Jurlique」ブランドに係る固定資産の減損損失及び医薬品事業からの撤退決定に伴う事業整理損が影響している。

ポーラ・オルビスHD 2019年12月期決算(セグメント別) 出典:決算資料

主力のビューティケア事業は、同比7.1%減の2148億8600万円だった。「POLA」ブランドは、「リンクルショットメディカルセラム」の国内外の免税店及び国内EC、越境ECでの販売開始などにより、アジア圏での成長は継続しているものの、国内市場における中国の電子商取引法施行の影響によるインバウンド需要の減速が影響し、同比9.8%の減収、同比21.6%の減益となった。

ポーラ・オルビスHD2019年12月期決算(ビューティケア事業ブランド別実績) 出典:決算資料

もう一つの主力ブランド「ORBIS」は、高収益事業への転換を図るため、ブランドメッセージ「ここちを美しく。」の世界観を体現する商品を中心としたコミュニケーションなどを強化。エイジングスキンケアシリーズ「オルビスユー」、肌への機能が確認された特定保健用食品「オルビスディフェンセラ」が新規顧客の獲得に貢献したものの、顧客ターゲットを絞り込む戦略により既存顧客が減少。同比0.6%の減収、同比0.9%の減益になった。

海外ブランドの「Jurlique」は、自社で独自開発したバラの成分を配合した新商品シリーズを8月に発売し、新規顧客の獲得に貢献した一方で、ブランドプレゼンス回復を図るべく、豪州ではリテールに集中するため卸を縮小。中国では代理店モデルから直営モデルへの転換に伴い出荷を抑制し、売上高が前年同期を下回った。費用面では本部機能の縮小等によるコスト構造改革、中国での不採算店の 閉鎖、固定費の削減に取り組み、前年同期より営業損失が縮小した。「H2O PLUS」は、新商品シリーズの投入や自社サイトのコンテンツの拡充とユーザビリティの向上により、ECチャネルの拡大を進めてきたが、一部リテーラーからの撤退やアメニティの出荷減により、前年同期を下回る売上高、営業損失の拡大となった。

育成ブランドについては、10周年を迎えた「THREE」の海外売上の成長、18年にローンチした「Amplitude」「ITRIM」「FIVEISM×THREE」により、前年同期を上回る売上高となった。ただし、新ブランドへの成長投資を行ったことにより、営業利益は前年同期を下回った。