19年度上期決算でも資生堂の安定感が際立つ

――2019年は中国のEC法施行の影響が懸念される中、重苦しい雰囲気での幕開けとなりました。19年度上期決算を見ても、化粧品メーカー各社総じて、昨年と比較すると伸びが鈍化しています。少し潮目が変わってきたのかなと感じていますが、国内化粧品市場のトレンドをどう見ていますか。

角田 インバウンド消費が代理購買の業者かツーリストかの比率が各社とも違っているようで、それによってEC法の影響の受け方の度合いが、相当、違うという印象を受けています。資生堂は業者の比率が自己申告で2割ぐらいということですが、一般のツーリストが2桁以上の伸びを見せており、インバウンドの売り上げはネットで6%ぐらい伸びています。一方で、マイナスに転じているところも散見されますから、そこは業者の影響が出てきているのではないでしょうか。ただ、インバウンドを支えるプレミアム化粧品のスキンケアの需要はいたって旺盛。その傾向は、まだ続いていると見ています。

JPモルガン証券株式調査部マネジングディレクター シニアアナリスト 角田律子

宮迫 天候や為替の影響でトレンドが見えにくいというのが正直なところです。日本国内の消費自体は、私の感覚ではトレンドが変化している感じはしない。確かにインバウンドは伸びなくなっている。ただインバウンドは昨年まで爆発感が際立ったので、落ち込みは為替の影響もあると思うし、いまは堅調になったと捉えた方がいいのではないかと思っています。

ジェフリーズ証券調査部シニアヴァイスプレジデント 宮迫光子

佐藤 インバウンドを含めた上昇率を見ると、昨年の4〜6月期というのは、インバウンド需要が高かった時期で、資生堂でもその恩恵を受け、日本事業の売り上げは30%以上の増収率でした。それが今年の4〜6月期はマイナス3.5%になった。これは明らかにインバウンドの減速が影響しており、売り上げモメンタムは低下している。また、これからのことを考えると、香港のデモ、日韓問題、為替(元安)など不安要素が多く、どうなるだろうと心配しています。

JPモルガン証券株式調査部マネジングディレクター シニアアナリスト 角田律子

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