コーセーは、18年6月14日に開始したアクセラレータープログラム「コーセーとの共創における Innovation Program」の最終答申会(デモデイ)を1月30日に本社で実施。その結果「MDR株式会社(以下MDR」と進めてきた量子コンピューティングをコーセーのR&Dに取り込み「人間とコンピューターとの共創」を目指すテーマを採択し、実証実験へ移行することを決定した。

コーセーの中に蓄積されたリソースと、広くオープンに募集した社外の力を組み合わせ、共創による新たな価値創造を実現することを目的として、18年6月に業界初のアクセラレータープログラムをスタート。プログラムで募集したのは「デジタル×美」「美×先端技術」を軸に、コーセーが今後連携を強化する、以下の三つの領域に関するアイデアだ。

1:テクノロジーを活用したユーザーコミュニケーション

2:新しい美容サービスの創造

3:先端技術・素材によるプロダクト・サービス開発

スタートアップ企業80社以上の応募があり、その中からコーセーの選抜社員が加わった六つの「共創チーム」が10月の中間答申会に進み、四つに絞られた。その後、各チームは、デモデイに向けてテーマをブラッシュアップした。

19年1月31日に最終答申会(デモデイ)を開催。コーセーとスタートアップ企業のコラボが実証実験に移行する

デモデイでは、コーセーの小林一俊社長をはじめとする役員から構成されるメンバーに、外部有識者として株式会社WiLの松本真尚General Partnerが加わった審査委員が評価。審査基準は、市場への差別性・優位性や実現性があり、コーセーとスタートアップ企業の双方にとって協業に意義があるか、という点を重視。ファシリテーターには、中間答申会に引き続き、株式会社インキュベータの石川明氏を迎えた。

採択されたMDRに対し、小林社長は「4チームの中でも特に夢があるテーマであり、新しい研究所が本年稼動するという中、従来の延長線上にない“モノづくり”につながると期待している」とコメント。そして全体の発表に対し、外部審査員の松本氏は「今日のプレゼンテーションでは、スタートアップとコーセーのメンバーが一体となり、本気でイノベーションを起こそうとしている熱意が感じられた」と指摘した。

今後、MDRとコーセーの該当部門が連携し、具現化に向けた実証実験および協業検討へと進む。