本号で『国際商業』は700号を迎えました。支えてくださった読者、取材先、広告主の皆さまに、心より感謝申し上げます。

インターネット、SNS、生成AIの普及によって、情報は誰もが発信でき、瞬時に広がるようになりました。だからこそ、メディアは何を伝えるかだけでなく、何のために存在するのかを問われています。事実を正確に伝え、企業や社会の動きを検証する責任は変わりません。しかし、とりわけ専門誌は、ニュースを届け、変化を解説するだけで、その役割を果たしたと言えるのでしょうか。

業界に深く入り、経営者や現場の声を聞き続けることで、個社だけでは解けない課題や、その背景にある構造を捉えられます。各社が競い合う領域ではなく、業界全体の発展に必要な協調領域の課題を共有し、解決への道筋を描くことは、専門誌が担うべき新たな役割です。

新たな発想やイノベーションは、異なる知見が交わることから生まれます。人と会い、話を聞き、関係を築くことをなりわいとする編集者や記者には、業界内外の企業や組織、行政、研究機関の接点をつくる力があります。業界の当事者だけでは得にくい視点を示し、論点を整理することもできます。こうした信頼関係を築き、異なる立場の人や組織を結び付け、行動を促す力は、AIだけでは代替できません。情報があふれる時代だからこそ、編集者や記者の価値はむしろ高まります。

『国際商業』は、情報を発信するだけでなく、協調領域の課題解決にも踏み込む存在へと進化します。変化を伝えるだけでなく、人をつなぎ、変化を生み出す。その覚悟を持って、次の100号に向けた挑戦を続けます。

月刊『国際商業』2026年09月号掲載