日本メナード化粧品は、これまでに幹細胞による皮膚再生メカニズムの解明に向けた研究を進めてきた。今回、加齢に伴う皮膚のタルミ改善に関する研究において、独自開発した「キヌガサタケエキス」が、皮下組織の幹細胞から前駆脂肪細胞への分化を促進することを確認した。さらに、肌の若々しさを保つ上で重要な役割を果たすタイプⅥコラーゲンの産生を高めることも見いだした。

皮膚は、外側から表皮、真皮、皮下組織の3層で構成されており、各組織に存在する幹細胞が分化することで新たな細胞が供給され、皮膚の機能が維持されている。メナードはこれまでに、皮膚に存在する幹細胞の減少が各組織の機能低下を招き、シワやタルミなどのさまざまな肌悩みにつながることを明らかにしてきた。今回はさらに、首やデコルテの皮膚に着目して研究を進めた。

顔の皮膚には靭帯が存在し、皮膚を内側から支えている。一方、首・デコルテには靭帯が存在しないため、皮膚組織の衰えがタルミとして現れやすく、適切なケアが重要となる部位だ(図1)。

図1:顔と首・デコルテの肌の断面図

首・デコルテの皮下組織の大部分は脂肪細胞で構成されているが、その他にも皮膚の再生を担っている幹細胞や、幹細胞から分化した前駆脂肪細胞も存在している。前駆脂肪細胞が産生するタイプⅥコラーゲンは、網目状の構造(ネット構造)を形成して脂肪細胞を取り囲み、組織構造を維持することで、皮膚を深部から支える土台として重要な役割を果たしている。

しかし、加齢に伴い幹細胞の分化能力が低下すると、新たな前駆脂肪細胞の供給が滞る。さらに、衰えた前駆脂肪細胞ではコラーゲン産生能が低下するため、タイプⅥコラーゲンが不足し、脂肪細胞を支えていた網目状の構造が次第に緩んで脆くなってしまう(図2)。

図2:加齢による皮下組織の脆弱化

メナードではこれまで、幹細胞から前駆脂肪細胞への分化を促進する成分として、キヌガサタケエキスの研究を重ねてきた。そして今回、新たに開発したキヌガサタケエキスにおいて、前駆脂肪細胞への分化促進効果をさらに高め、タイプⅥコラーゲンの産生を向上させることを確認した。

皮下組織由来の幹細胞にキヌガサタケエキス(抽出物)を添加して培養した結果、前駆脂肪細胞への分化の指標となる遺伝子PPARGの発現が上昇した。さらに、皮膚を内側から支えるタイプⅥコラーゲンの遺伝子COL6A1の発現も増加した(図3)。特に、50%エタノール抽出物において顕著な発現亢進が認められた。

図3:キヌガサタケエキスによる前駆脂肪細胞への分化誘導とコラーゲン産生促進効果

これらの結果から、キヌガサタケ50%エタノール抽出物は、幹細胞から前駆脂肪細胞への分化を強力に促進することで、タイプⅥコラーゲンの産生を高めることが確認された。これにより、皮膚を内側から支える構造の維持・強化に寄与し、加齢に伴う首・デコルテのタルミにアプローチすることで、ハリのある若々しい肌へ導くことが期待される。

なお、今回の研究成果は、6月26~28日に開催された「第26回日本抗加齢医学会総会」にて発表した。

キヌガサタケ:傘の下から「菌網(きんもう)」と呼ばれる白い網目状のレースが地面まで垂れ下がり、スカートのように広がる美しい姿から「キノコの女王」と称されている。この姿が、古代に貴人に差し掛けていた絹張りの傘「衣笠(きぬがさ)」に似ていることが名前の由来。成長スピードが非常に速く、早朝に伸び始めるとわずか2〜3時間で完成形になるが、半日も経たずに萎れてしまう非常に短命なキノコ。