花王は、ヘアケア事業のアジア戦略ブランド「Liese(リーゼ)」を軸に、ヘアカラー事業の成長を加速する。ヘアカラー後7日間に毛髪内部でダメージが進行する仕組みを世界で初めて(同社調べ)解明し、その知見を基に開発した新技術「H-Linx TECH」を搭載したヘアカラーシリーズを8月からアジア七つの国・地域で順次投入する。従来の「染める」だけの商品提案から、カラー後のダメージケアまで含めた新たなヘアカラー体験を提供することで、2030年までにアジアのファッションカラーブランドNo.1を目指す。

ヘルスビューティケア事業部門の守矢まゆみヘアケア事業部長

同社は24年に公表したヘアケア事業成長戦略で、ヘアカラーとプレミアムヘアケアを成長領域に位置付ける。その中でも「リーゼ」はアジア事業をけん引する戦略ブランドとして育成を進めている。アジアでは、髪色を自己表現の手段として楽しむ層が拡大し、日本を含む25年度のホームカラー市場は19年比で114%、4840億円まで拡大(ユーロモニター調べ)。一方で、生活者はダメージや指通り、ツヤ、色持ちなどへの不満を抱えており、花王はこのギャップを成長機会と捉える。ヘルスビューティケア事業部門の守矢まゆみ事業部長は、「仕上がりの再現性や色持ち、ダメージといった機能面への不満が根強いカテゴリーだ。カラー体験全体の価値を引き上げることで、アジアでのヘアケア事業の成長をさらに加速したい」と語った。

ヘアカラー後、7日間はヘアダメージが続きパサつきやうねりの要因となる

今回の戦略を支えるのが、花王ヘアビューティ研究所による毛髪研究だ。従来、ヘアカラーによるダメージは施術中に生じると考えられてきた。しかし同研究所は、ヘアカラー後7日間にわたり毛髪の形状を支えるSS結合の切断が毛髪内部で進行し、それがパサつきやうねり、色落ちにつながることを世界で初めて解明した。特にこの現象はメラニンを多く含む黒髪で顕著に起こり、メラニン由来のダメージ物質であるラジカルがSS結合を切断することが原因であることを突き止めた。

この知見を基に開発した「H-Linx TECH」は、ラジカルを無害化することでSS結合の切断を抑制し、カラー後も進行するダメージを防ぐ技術だ。研究開発部門ヘアビューティ研究所の徳永晋一所長は、「これまではダメージを補修するという考え方だったが、今回はダメージの進行そのものを防ぐアプローチだ。髪の美しさを保ちながらヘアカラーを楽しめる新しい体験につなげていきたい」と説明した。

「H-Linx TECH」を搭載した製品は、アジアで高密着ジェルが泡状に変化する「リーゼ ジェリートゥバブルカラー」に加え、「リーゼ カラー プロテクト」シリーズのシャンプー、コンディショナー、トリートメントを8月から順次投入する。日本では「リーゼ ティントカラージェル」(医薬部外品・1400円前後※編集部調べ)を9月5日、「リーゼ 泡カラー」(医薬部外品・1000円前後※同)を10月10日にそれぞれ刷新し、新技術を採用したトリートメントをセット化。さらに12月には「7DAYS カラープロテクト トリートメント」(12㌘・1300円前後※同)を単品展開する予定だ。

同社は、ヘアカラーを「染める瞬間」の商品から、「染めた後まで美しい髪色を維持する体験」へ進化させることで、アジアで拡大するホームカラー市場の需要を取り込み、「リーゼ」をグローバルブランドへ育成。また、アジア全体でブランド運営を一体化し、インフルエンサーを活用した情報発信も強化する。30年にはアジアホームカラー市場で、25年比でシェア率を約2倍、売上伸長率が同140%、海外比率が同20ポイント増の約65%を目指す。