新日本製薬は、薬用植物ムラサキの研究を長年進める中で、ムラサキの根由来の「Wのシコンエキス(※1)」とビタミンB類(※2)の組み合わせにより、皮膚バリア機能に関わる遺伝子の発現が増加し、バリア機能を向上させる効果があることを確認した。なお、同開発技術において特許を取得し、その成果をもとに新たな原料を開発した。

●特許の概要

登録番号:特許第7835945号

登録日:2026年3月16日

発明の名称:皮膚バリア機能促進剤

皮膚は、乾燥や紫外線などの外的要因や加齢に伴うセラミド減少により、バリア機能が低下して不安定な状態になる。そのため、健やかな肌を保つには、セラミドを増やしてうるおいを保持し、外部刺激や乾燥から守るためのバリア機能を高めることが重要であり、同社は生体バリア機能に関する研究に長年取り組んでいる。加えて、江戸時代から皮膚の傷や炎症を治す漢方薬「紫雲膏」に用いられていた絶滅危惧IB(EN)指定の薬用植物ムラサキにも着目し、06年より研究を進めている。直近の研究では、ムラサキの根由来の水溶性シコンエキスについてDNAマイクロアレイ法(※3)を用いた網羅的な解析を行い、優れた機能があることを示唆する結果を得た。

こうした同社の研究基盤をもとに、同研究ではムラサキの根由来の成分を活用し、バリア機能を向上させる有効性の検証に着手した。また、美容成分として広く知られるビタミンのうち、皮膚のターンオーバーを促進するビタミンB6、皮膚や粘膜、髪などの健康を維持に寄与するビタミンB7(ビオチン)、高い抗炎症作用とターンオーバー正常化作用を持つビタミンB12(シアノコバラミン)を用いて取り組んだ。

研究の結果、二つの成果が得られた。

■水溶性シコンエキス単体で、皮膚バリア機能関連の遺伝子発現量が増加し、バリア機能を向上させることを確認

ヒト表皮角化細胞(以下、NHEK)に水溶性シコンエキスを添加し、皮膚バリア機能に関連する物理的バリア機能、保湿機能、セラミド合成の遺伝子発現量を検証したところ、未添加の場合と比較して、インボルクリン遺伝子(以下、IVL)、フィラグリン遺伝子(以下、FLG)、セラミド合成関連酵素遺伝子(以下、SPTLC3、CERS3)の各遺伝子の発現量が増加し、バリア機能を向上させる効果があることを確認した。

■水溶性シコンエキス・油溶性シコンエキス・ビタミンB類の組み合わせにより、皮膚バリア機能関連の遺伝子発現量が増加し、バリア機能を向上させることを確認

NHEKに水溶性シコンエキスに加え、油溶性シコンエキスとビタミンB類を組み合わせて添加し、皮膚バリア機能に関連する物理的バリア機能、保湿機能、セラミド合成の遺伝子発現量を検証したところ、未添加の場合と比較して、IVL、FLG、SPTLC3、CERS3の各遺伝子の発現量が増加し、バリア機能を向上させる効果があることを確認した。

同研究により、水溶性シコンエキス・油溶性シコンエキス・ビタミンB類の三つを組み合わせた試験において、皮膚バリア機能を向上させる効果があることを確認した。さらに、実用化に向けてこれら三つの成分を内包し、水層とオイル層が交互に重なり合うラメラ構造(層状構造)を形成させることでリポソーム化に成功。同技術から、独自原料「リポソーム紫根VB(※4)」を開発した。リポソーム紫根VBは、肌のうるおいやハリを整えながらバリア機能をサポートし、健やかな肌へ導くことが期待される。

※1:シコンエキス、油溶性シコンエキス(1)

※2:ビタミンB6ジカプリレート、ビオチン、シアノコバラミン

※3:多数の遺伝子の発現量を比較・解析する技術

※4:ムラサキ根エキス、水添レシチン、シアノコバラミン、ジカプリル酸ピリドキシン、ビオチン(湿潤剤)