再春館製薬所は、希少成分「ジンセノサイドRg3・Rg5」を含むオタネニンジン抽出物「(加圧蒸気処理を行った)紅参エキス」を有効成分とする美白用皮膚外用剤・抗老化用皮膚外用剤・紫外線による細胞損傷の修復用皮膚外用剤、およびジンセノサイドRg5からなる美白剤の4領域について、特許を取得した。なお、同内容は昨今美容業界で注目を集める美白成分「グルタチオン」に関して、国内外の主流アプローチ「補充・与える」といった手法とは全く異なる、「減少抑制」という、世界的に見ても非常に新規性の高いアプローチを含む。

●特許概要

特許番号:第7836035号

1.オタネニンジン抽出物(Rg3,Rg5を含む)を有効成分とする美白用皮膚外用剤

2.同成分を有効成分とする抗老化用皮膚外用剤

3.同成分を有効成分とする紫外線による細胞損傷の修復用皮膚外用剤

4.ジンセノサイドRg5からなる美白剤

再春館製薬所と「長白参(ちょうはくじん)」との出合いはおよそ40年近く前。以来、土の養分や極寒の気候など、良質な高麗人参が育つ条件がすべてそろう、長白山産の高麗人参(オタネニンジン)「長白参」の7年根のひげ根を、効果成分「ジンセノサイド」を非常に多く含む優れた素材と位置づけている。大地の養分を凝縮したようなその強靭さを余すことなく活用するため、漢方の技法「修治」に倣った、「水抽出/油抽出/発酵後抽出/蒸気処理後抽出」という異なる四つの技法を採用し、それぞれ異なる効果のエキスを得ることに成功した。

この度の、2019年特許出願、26年取得に至った研究成果は、この「紅参(こうじん)」と呼ばれる、一度蒸した高麗人参を水で抽出したエキスに関するもの。一般的な従来の蒸気処理法を見直し、加圧蒸気処理「オートクレーブ」を用いた、「121°Cの高温下で強い圧力をかけ、1時間/2時間/3時間の蒸気(過酷)処理を行った紅参」から抽出したエキスを測定したところ、既知の通説を覆す結果や、過去に報告が存在しない新データ解明なども得られ、高麗人参の新たな側面を解き明かす結果となった。

特許を取得した4項目の中でも特筆すべきは、「オタネニンジン抽出物(希少成分ジンセノサイドRg3,・Rg5を含む)を有効成分とする抗老化用皮膚外用剤」としての、細胞内グルタチオン量から見る、UV(紫外線)損傷抑制だ。

グルタチオンはシミの元となるメラニンを生成する酵素「チロシナーゼ」の働きを直接阻害して、メラニンをつくる指令をブロックする「防御」の役割に加え、できてしまった黒色メラニンを無色に近い明るい色のメラニンへと還元する「攻め」の側面も持つ化合物として知られている。

しかし、アルコールや薬物などの「解毒」における必須成分でもあるグルタチオンは、体内で使用される優先度が決まっており、まず「生命維持活動に関する、肝臓での解毒」が最優先され、次いで「臓器で活性酸素を無毒化する、抗酸化」に使われる。その余剰グルタチオンが初めて「美白」に充てられるため、「美容用途」での使用優先度はかなり低いというのが実情だ。特に、皮膚に紫外線が当たると、「皮膚という臓器」の内部で発生した猛毒の活性酸素に対し、二番目の優先事項の「無毒化」に大量のグルタチオンが浪費されるため(図1:Control右)、「美白」に充てられるグルタチオンはさらに不足する。

図1:UV(紫外線)照射に対する細胞内グルタチオン(GSH)量の変化

一方、加圧蒸気処理を1時間/2時間行った紅参エキスに浸した細胞は、紫外線が当たる前の細胞のグルタチオン量(同Control左)と比較しても減少が大きく抑制されており(図1)、これは、高い抗酸化力も併せ持つ(図2)紅参エキスが、本来使用されるはずだったグルタチオンの「身代わり」となったことで、「活性酸素除去に割かれるはずのグルタチオン」の消耗を最小限に抑えられたことが示唆される。

図2:加圧蒸気処理「紅参」の、DPPHラジカル除去(抗酸化力)作用(BG抽出結果)

実験は、一般的な実験に使われるメタノール抽出結果だけではなく、多くのスキンケア製品にも使われている安全性の高い「BG(※)」抽出でも検証した。

また、同エキスでは非常に高いメラニン産生抑制効果も得られており(図3)、これは、「メラニン産生増加の役割を持つ」ジンセノサイドRg1・Rb1の減少、および「メラニン産生を抑制する役割を持つ」Rg3・Rg5の増加(図4)との関連が類推されるが、その高い効果は「特定ジンセノサイドによる単体の作用」ではなく、「加圧蒸気処理に伴う複合的な成分変化」や「絶妙な入れ替わりバランス」によるものと考えられる。

図3:オートクレーブ処理時間別メラニン産生抑制活性

図4:各種ジンセノサイドのメラニン産生抑制活性

上記の結論において、それまで「メラニン産生増加」と「産生抑制」の両方の見解が存在し、科学的見解が定まっていなかった「Rb1」については「メラニン産生増加」であることを、そのデータ自体が一切存在しなかった「Rg5」については「メラニン産生抑制」という新事実をそれぞれ解き明かしたことも、特許内容の一つである。

同エキスの持つ高いメラニン抑制効果は、グルタチオンの持つ「メラニン生成の指令を遮断」する、美白の「防御」面もサポート。美容領域において「グルタチオンのリソース消耗」をより軽減できると考えられることから、その余剰リソースをさらに「攻めの美白」機能の真骨頂である「メラニン還元」に充てることも期待できる。

これらの研究および特許申請は、世の中でグルタチオンが注目される久しく前の19年にすでに完了しており、その先見性は、同成分を「補充」対象ではなく、そのメカニズムに着目した「自己抗酸化成分」と命名していたことにも表れている。7年前より体内のグルタチオンを重要な「資産」として位置づけ、「減らさない」ことを追求する姿勢は、再春館製薬所の漢方理念「根本的アプローチ」に基づくものだ。

グルタチオンを多角的に守る同アプローチは、結果的に「外から補っても必ずしも肌に届くとは限らない」グルタチオンを、「穴の空いたバケツに注ぎ続ける美白から、穴を塞ぎ、資産を守る美白へ転換」するような発想。グルタチオンが美容目的で使用される確度を高めることが示唆され、この「減らさない」手法と従来の「補給」アプローチを組み合わせることで、いっそう効果的なグルタチオンケアがかなう可能性も秘められている。

 

※:化粧品等の製品に使用されるBGの9割以上が石油由来の「ナフサ」を原料とする一方、石油由来成分フリーのドモホルンリンクル製品では、植物由来のBGのみを採用