花王のグローバルメイクアップブランド「KATE(ケイト)」は、日本を代表する特撮コンテンツ「仮面ライダー」、ファッション・カルチャーのニュースメディア「WWDJAPAN」と初の共創プロジェクトを立ち上げた。ビューティ、ヒーロー、ファッションという異分野を掛け合わせ、新たなカルチャーの創出を目指す取り組みである。その中核となるのが、KATEオリジナルSHORT MOVIE「HENSHIN THE FIRST」だ。3月2日から日本国内に加え、アジア地域でも公開した。

同作は、新たに誕生した女性版仮面ライダー1号「仮面ライダーアインズ」を主人公に据えたオリジナルストーリーで、KATEが掲げるブランドメッセージ「NO MORE RULES.」を映像として表現した。仮面ライダーがメイクアップブランドと組んだ特別映像の発表は初の試みという。テーマは「強く、美しく、HENSHIN」。KATEの主力商品「リップモンスター」が持つ外見を彩るだけでなく、自信や勇気を引き出す存在でありたいという思想を、変身を通じて困難に立ち向かう仮面ライダーの世界観と重ね合わせた。

主人公の「三日月ナユタ/仮面ライダーアインズ」を演じるのは、藤岡弘、の次女である天翔天音。作中では、戦いの先にいるアインズが、リップモンスターをきっかけに自信と勇気を得て、唯一無二の自分へと変わっていく姿を描く。強さと美しさを併せ持ちながら成長していく過程を、短編ながら濃密な物語に落とし込んだ。監督は「ブルーピリオド」などを手がけた萩原健太郎氏。映像美と物語性を両立させ、メイクの訴求にとどまらない作品性を追求した。

あわせて、もう一つの映像作品「HENSHIN THE FIRST Fashion Side Story with WWDJAPAN」も制作した。オリジナルムービーが物語性を軸に構成されているのに対し、こちらはファッションの力によるビジュアル表現を前面に押し出した内容となっている。異なるアプローチを取りながらも、「変身」を切り口に新たな表現を提示する点で共通している。

岩田有弘ブランドマネジャーは、今回の象徴アイテムにリップモンスターを選んだ理由について、「変身という特撮の象徴を表現する際に、生活者にとって最も分かりやすく、すぐに想起される商品が口紅だった。さまざまなアイテムを検討したが、シンプルで伝わりやすい形にした」と説明した。

海外への発信についても、「仮面ライダーの認知は少しずつ高まっており、各地域でイベントを開催すると多くの人が集まる。日本のメイクを代表するKATEと、日本を象徴する特撮コンテンツである仮面ライダーが重なることで、海外でもインパクトを生み出せる」と狙いを語った。

仮面ライダーは男性ファンの多いコンテンツという印象もあるが、岩田ブランドマネジャーは、そうしたイメージとのずれが新たな接点になり得るとみる。今回のプロジェクトは、メイク、ファッション、カルチャーを横断しながら、KATEのブランド世界観を映像で拡張する取り組みとして位置づけられそうだ。

月刊『国際商業』2026年05月号掲載