ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業の小林一貴研究員が、国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)の専門学術誌『IFSCC Magazine』において、「Henry Maso Award 2026」の受賞者に決定した。同賞は、化粧品技術者にとって世界で最も権威ある学会であるIFSCCが発行する専門学術誌に掲載された論文を対象に、直近2年間で特に優れた論文を執筆した40歳以下の著者1人に贈られる。
小林一貴研究員はポーラ化成工業フロンティアリサーチセンター副主任研究員を務める。20年にポーラ化成工業に入社。専門は界面化学で、これまでに化粧水、乳液、クリームなどスキンケア製品への活用を目指した新剤型の基礎研究に従事してきた。今回の受賞に際し「名誉ある賞を頂戴し大変光栄に存じます。メンバーとの日々の濃密な議論が本受賞に繋がったと確信しています。今後も、新技術で世界中の生活者の肌悩みに応える商品を届けるべく、一層精進して参ります」とコメントを発表した。
IFSCC Magazineは、世界中の化粧品技術者・研究者の専門学術誌で、最先端の化粧品技術論文が掲載される。Henry Maso Awardは、40歳以下の著者を対象に、審査期間の直近2年間にIFSCC Magazineに掲載されたエントリー論文の中で、最も優れた論文へ贈られる最優秀賞だ。受賞者は、次回IFSCC学術大会に招待され、受賞式登壇ならびに化粧品技術者との交流の機会が与えられる。
受賞対象となった研究論文は、2024年10月開催の第34回IFSCC世界大会におけるポスター発表部門で優秀ポスターTop10に選出された『刺激性の化学物質を皮膚に残さない、気体を活用した独自の洗浄技術 “ウルトラファインバブルは未来の乳化技術になりえるか?”』(英文名:A unique gaseous solution for cleansing leaves no trace of irritating chemicals on the skin “Can Ultra-Fine-Bubble serve as a new means of cosmetic emulsification?”)。
洗顔料に含まれる洗浄成分は肌上にわずかに残り、敏感肌の人にとって不快な刺激の原因となり得る。そこで同社では、時間とともに消失し肌に残らない究極の洗浄成分を追求した。その答えとして着目したのが「空気」だ。その中でも特に、目に見えないほど小さな気泡「ウルトラファインバブル(UFB)」を応用し、刺激の心配が少ない化粧品の基盤技術を確立した。同研究は、従来の化学技術とは異なり、「物理」起点の製造装置技術で微細気泡を扱う新規性の高い剤型研究として、化粧品技術者から注目を集めた。
同論文の中で、小林研究員は高濃度のUFBを化粧品に安定して存在させることのできる剤型技術を発表した。パッチテストで刺激性がないことも確認し、刺激性物質を肌に残さない洗浄用化粧品の実現が可能であることを示唆した(図1)。また、UFBの新たな機能性検証も進め、化粧品成分の浸透促進作用を示すとともに、洗浄機能を発展させ、気体であるUFBで油を分散させる乳化法、いわば「気相乳化」という新たな可能性も論じている。同論文はUFBという新たな技術における化粧品応用の方向性を示したといえる。
現在、ポーラ・オルビスグループでは、同技術を活用した世界初のUFB化粧品(ファインバブル産業会〈FBIA〉の定めるUFBの存在と品質管理方法の基準に適合した製品)や関連サービスの提供を目指して開発検討を進めている。同社ではこれまでも、肌上での新感触創出や肌内部への届け方に革新をもたらすためのさまざまな新剤型研究を続けてきており、世界中で評価されている。






















