ファンケルは、長年にわたりシワやたるみの予防や改善を目的としたメカニズムの解明や美容成分の探索に取り組んできた。この研究の中で、同社はマイクロRNA(miRNA、遺伝子の発現を調節する役割を担うRNAの一種で、細胞間の情報伝達にも使用されている)の一種であるmiR-365aが皮膚の老化抑制に関与することを独自に明らかにしている。
さらに、このmiR-365aを豊富に含むヤギ乳由来エクソソーム(細胞から分泌される直径30~150ナノメートルの細胞外小胞の一種。細胞間の情報伝達や体の機能維持に重要な役割を果たしている)が、皮膚細胞の老化を抑制し、コラーゲンやエラスチンの産生促進作用があることを発表してきた。
エクソソームを含有するヤギ乳エキスを配合した化粧水を使った連用試験を実施した結果、ほうれい線および角層水分量の改善効果を確認した。同研究成果は、2025年12月8~10日に神奈川県にて開催の第3回日本化粧品技術者会学術大会にて発表した。今後は、この成果をアンチエイジング化粧品の開発に応用していくとしている。
肌のハリや弾力には、コラーゲンやエラスチンが重要な役割を果たすことが知られている。同社はこれまでに、ヤギ乳由来エクソソームがコラーゲンやエラスチンの産生を促進することを明らかにしてきた。この知見に基づき、ハリや弾力が大きく影響するほうれい線への効果を検証するため、エクソソームを含有したヤギ乳エキス配合化粧水の連用試験を実施した。
同試験では、40~60歳の女性を対象とし、ヤギ乳エキスを配合した化粧水と無配合の化粧水をそれぞれ半顔に1日2回塗布する連用試験を行い、試験開始前、連用4週間後および8週間後の肌状態を測定して評価した。
評価項目としてほうれい線体積(ほうれい線の深さや面積を評価する指標)の変化率を比較したところ、連用8週間後には、ヤギ乳エキス配合化粧水使用群において、ヤギ乳エキス無配合化粧水使用群と比較してほうれい線体積が有意に低減し、ほうれい線の深さや面積が減少する改善効果が確認された(図1)。
また、ほうれい線以外の肌状態への効果も併せて確認した結果、肌の角層水分量の変化率においても、ほうれい線と同様にヤギ乳エキス配合化粧水使用群で改善効果が確認された(図2)。
これらの結果からヤギ乳エキス中のエクソソームがコラーゲンやエラスチンの産生増加に寄与し、ほうれい線が改善した可能性が考えられる(図3)。
今回、エクソソームを含有するヤギ乳エキスを配合した化粧水の連用により、ほうれい線体積の改善が確認されたことから、皮膚のシワやたるみの予防や改善に対して効果を発揮することが期待される。また、角層水分量の改善が確認できたことから、ヤギ乳エキスのエクソソームが表皮細胞に作用した可能性が考えられるため、今後詳細なメカニズムの検証を進め、今後メカニズムをより詳細に検証することで、様々なスキンケア製品への応用も期待される。
























