日本では長らく「手を出すべきではない恐ろしいもの」とされ、社会的に罪悪視されてきた大麻。その成分を含む一部の製品が、2023年の大麻取締法(および関連する「麻薬及び向精神薬取締法」など)の改訂、24年末の施行によって販売できることになった。医薬品としての大麻の使用が初めて許されるようになったことや、CBD成分を抽出してもよい植物の部位が広げられたことは画期的だ。第二次安倍政権で、健康関連食品に関する機能性表示が緩和されたことも追い風となり、大麻由来の成分を配合した製品ににわかな期待が高まった。だが、この9月、知名度の高い経済人が海外から持ち込んだとみられる製品に関連して捜査を受けたことで、その期待には陰りが見えそうだ。欧州ではどうなのだろう。
大麻由来による成分は、主に、CBD(カンナビジオール)とTHC(テトラヒドロカンナビノール)があることは日本でも知られるようになった。THCは中枢神経に作用する精神活性作用成分として気分を高揚させる効果があるが、依存性が高いとされる。一方、CBDはほぼ安全で、鎮静、痛みや不眠症の緩和などに効果が見込まれるという(18年の世界保健機関〈WHO〉発表)。欧州連合(EU)はCBD製品のTHC成分許容限界値を0.2〜0.3%に引き上げ、欧州食品安全機関(EFSA、在パルマ)は19年、CBDオイルなどを用いた食品を「ノベル・フード」に認定して「申請許可制度」を適用するとした。また、欧州司法裁判所も20年、THCが法定限界値内であれば、ヘンプ(産業用大麻)由来のCBDは麻薬とはみなさないという判断を示した。こうして、欧州ではフランス、ドイツ、オランダ、スイス、英国などで次々と法改正され、科学技術分野の研究を後押しし、さまざまな分野での製品開発が加速する環境を整えた。
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