機能性表示食品の強調表示が一部緩和される見通しだ。「食塩無添加」「糖質オフ」「ノンカフェイン」など特定の成分を含まないことなどを強調する表示について、これまでは誤認の観点から禁止されてきたが、今後使用が認められる方向。ただ、これを議論する消費者委員会では、消費者系の委員が懸念を示しており、特にサプリメント形状に関しては不適切な表示の可能性を指摘している。商品を選ぶうえで、重要なファクターである表示をどう考えるかについて、事業者と消費者、消費者団体の溝がまだ大きいことを示す事例と言えるだろう。

「機能性表示食品では初めてとも言える規制緩和ではないか。ただ、一般食品で認められている表示を機能性でも認めたという話で業界的には当然という受け止めだ」。今回の話について、健康食品の業界団体の関係者はこう解説する。

2015年に設立された機能性表示食品では、機能性に関与する成分以外の成分について、これを強調する表示が禁止されている。例をあげると、添加していない旨では「砂糖不使用」「食塩無添加」。含まないことや低いことでは「糖質オフ」「糖質カット」「ノンカフェイン」などの文言だ。機能性に関与する成分以外を強調することで、誤認が生じることを防ぐという観点からの規制。例えば「糖質カット」が機能性であると間違わないようにするという意図だ。

しかし、常識的に考えれば、事業者サイドがわざわざ、機能性と混同させるような強調表示をするメリットはあまりない。機能性こそが、製品としての特長だからだ。

さらに言えば、消費者サイドから見ても、「疲労感を軽減する」「コレステロール値を下げる」などの機能性と「糖質オフ」「ノンカフェイン」を混同するとは考えにくい。あまりに消費者のリテラシーを低くみているようにも思える。製品表示によって消費者の製品選択権を広げるという観点から見れば、表示する方が親切と言える。そもそも、一般食品では問題なく表示されているものについて、機能性表示食品だけ、禁止するという理由がない。

こうした背景もあり、前述のような強調表示が今後認められることになりそうだ。特に飲料や加工食品の機能性表示食品においては、一般食品と同様の対応が可能となり、製品設計上でも幅が広がることになる。

紅麹事件以来、機能性表示食品については、①健康被害報告の義務化②製造管理基準の義務化に加え、パッケージ表示の細かなルール化など規制強化が続いている。特にパッケージ表示については「今年4月からは機能性表示の文字の大きさまで指示が入るようになった」(大手メーカー)など、不満の声も聞かれていた。こうした中での、一部とはいえ規制緩和が行われることは、業界にとっては明るい話題だ。

一方でこれに待ったをかけているのが前述の消費者系の団体ら。特にサプリメント形状に関しては、「そもそも糖分や塩分を含まないのに、これを強調して、誤認を与える可能性がある」などとの意見を表明している。サプリメントが「食塩無添加」「糖質オフ」などを表示して販促をかける懸念だという。事業者サイドからみても、これでサプリの販促となるとは考えにくく、杞憂に等しい指摘だ。

具体的な表示がなければ、消費者は合理的な製品選択はできない。当たり前の政策を進められなければ、消費者利益を損ないかねない。そちらの懸念も十分に考慮すべきだ。

月刊『国際商業』2025年10月号掲載

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