発足から9年目を迎えた機能性表示食品制度が「安全性」をきっかけに存亡の危機とも言える大ピンチを迎えている。3月22日に小林製薬が自社製造の紅麹を配合した機能性表示食品を摂取した人で腎疾患が発生しているため、販売中止と回収を行うと公表して記者会見を行った。その後、健康被害を受けたとみられる被害者は日を追って増えていき、3月29日正午時点で死者が5人、入院は100人超に。原料の供給先も当初は発表していなかったが、卸先を含めて200超であることが分かり、製品回収も続いている。健康被害の原因が分からないことも不安を広げている。

消費者庁は3月26日に、これまでの9年間で受理した機能性表示食品の全製品、約7000件について健康被害の有無を2週間以内に報告される方針を発表して、3月28日に当該企業にメールで通知した。対象は約1700社にのぼるとみられ、これへの対応をめぐり、新たな混乱も生じている。テレビ・新聞での報道もトップ級で、国会でも問題視されるなど社会を揺るがすトラブルだ。小林製薬の問題と、紅麹と機能性表示食品の安全性が混同されて、健康食品業界全体に風評被害が広がっており、1兆2000億円といわれる市場の冷え込みも懸念される。

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