資生堂は、「ボトル製造」と「中味液充填」をワンステップで実現することで環境負荷を軽減する製造技術「LiquiForm®(リキフォーム)」をディスペンサーポンプ型容器にも採用し、環境負荷軽減だけでなく、化粧品ならではの容器の魅力や心地よい使用感につながるデザイン性、持ちやすさや使い勝手といった機能性を同時に実現する化粧品容器を開発した。
今回、ボトルを「LiquiForm®(リキフォーム)」による成形で作ることで、現行品から容器単体のプラスチック使用量を約56%、CO₂排出量(温室効果ガス排出量)を約48%削減可能(リニューアル前後でのレフィル容器単体のプラスチック量と温室効果ガス排出量を同社にて比較。容器単体での温室効果ガス排出量について、SuMPOEPDで第三者検証を実施済〈ISO14025に準拠))。
同社は引き続き、お客も参加できる環境課題解決の選択肢を増やせるよう、人や社会、地球環境への尊重・共生と、上質なデザイン・感触などから得られる満足感を両立させる化粧品容器の開発に取り組んでいく。今後資生堂は、同容器を活用した商品をプレステージブランドなどで展開する予定である。
同社は、22年に世界で初めて「LiquiForm®」を採用したサステナブルな化粧品容器を開発した。その際と同様に、「LiquiForm®」で製造したレフィル容器を外容器で包んだ二体構造も検討したが、現行品に比べサイズが大きくなることが課題だった。
そこで、現行のサイズ感やデザインを踏襲させるべく、柔らかいプラスチックでできたレフィル容器を、あえてそのまま容器側面に生かすことに挑戦した。ポンプの付いた硬い素材の容器上部をこの柔らかなレフィルに差し込む形状にするために、落下強度や中味の耐光性、ディスペンサーポンプ型ならではの中味の吐出のしやすさ、プラスチック量削減など複数の課題を解決している。人間の手の大きさと本体容器のサイズのバランスなど、人間工学の観点からも検討を重ね、実際にお客にも試してもらうことで、手になじみ握りやすい最適な形状の開発に成功した(図2)。
資生堂は、化粧品容器のデザイン性と機能性を両立させた新しい容器について、日本と中国の20~34歳の女性130名(日本64名、中国66名)を対象にアンケートによる感性調査を実施した。参加者には同製品を4週間連続して使用してもらい、容器の印象と使用前後の気持ちの変化を評価してもらった。
調査結果によると、容器の印象評価については、88%の人が「環境に配慮されている」と思う、89%の人が「これからの時代に合っている」と回答した。また、使用後の気持ちの評価では、91%の人が「触っていると気持ち良い/心地よい」と感じ、84%の人が「癒される」と回答した。これらの結果から、4週間の使用を通じて、気持ちが良い方向に変化することが確認された。
資生堂は、今後も環境課題を考える機会やお客が参加できる課題解決の新たな選択肢になる化粧品容器開発に取り組む。そして、引き続き「美」の価値創造という本業を通じて、すべてのステークホルダーとともに環境・社会課題解決に向けたアクションに取り組んでいくとしている。