ロート製薬は、ロートグループ 総合経営ビジョン 2030「Connect for Well-being」の実現に向け、薄毛や脱毛など毛髪に悩む多くの人々に科学的根拠に基づいた解決策を提供するため研究を進めている。このたび、研究拠点であるロートリサーチビレッジ京都にて、毛髪成長に重要な役割を果たすPlGF(Placental Growth Factor:胎盤増殖因子)の産生を促進する植物エキス(オウバク・チンピ)を発見した。同研究成果を応用し、男性だけでなく女性や若年層の育毛剤の選択肢を広げる製品を開発していくとしている。

研究成果のポイントは三つ。①毛髪の成長に関わるPlGF産生促進作用を持つ植物エキス(オウバク・チンピ)を発見②新しい科学的アプローチに基づく育毛剤開発への応用に期待③ビタミン研究によって得られた知見を応用--だ。

同社は性別や年齢に関わらず毛髪に悩みのあるお客に寄り添うべく、長年にわたりヘアケア研究を進め、シャンプーなどの洗浄剤に留まらず、発毛剤や育毛剤など様々なアプローチで製品を世の中に送り出してきた。近年好調に推移している発毛・育毛剤市場だが、成分や価格、効果など様々な要因から、悩みを持つ人が自由に製品を選べていないという現状があると考えた。今回、このような課題を解決するためにこれまでの研究結果から毛球部のPlGF/VEGFR-1経路(図1)に着目し毛乳頭細胞のPlGF産生促進について研究を進めることにした。

図1:PlGF産生促進による毛髪成長機構

PlGFは、毛包の底部にある髪の形成において重要な役割を担う毛乳頭細胞でつくられる。髪のもとになる毛母細胞に存在する受容体VEGFR-1に結合することで、毛母細胞の増殖を促進し、髪の成長をサポートする因子だ。
他の成長因子に比べ毛髪関連の報告が少ない因子だが、同社はその可能性にいち早く注目しこれまで研究を進めてきた。

自然界に存在する素材の数ある候補の中から、毛乳頭細胞に作用しPlGFの産生を促進する植物エキスの探索を行ったところ、オウバク・チンピにその作用があることを見いだした。ヒト頭髪毛乳頭細胞にオウバクエキスまたはチンピエキスを添加すると、添加していない細胞に比べてそれぞれ約2.1倍、2.2倍のPlGFを産生することを確認した。(図2)

同研究成果により、植物エキスであるオウバク・チンピに毛髪成長に関与するPlGF産生効果があることが示された。この技術は頭髪だけでなくまつ毛などへの応用が期待される。同社は、今後もより多くのお客の毛髪を健やかにしていけるような研究を続けていくとしている。