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人口減の課題を乗り越える戦略
――2024年12月期は連結売上高が500億円を突破。売り上げ、利益ともに計画を上回った要因は何でしょうか。
坂下 一言でいえば、売り上げ構成比の6割以上を占めるヘアケア用剤が前年比9.4%増と非常に好調だったからです。ただ、好業績に油断はしていません。というのも、ヘアカラー(染毛剤)は0.2%増とほぼ横ばい。顧客数と売り上げが相関関係にあるヘアカラーは、人口減の影響を大きく受けているからです。美容業界に限った話ではありませんが、少子高齢化が進む日本市場は来店客を増やすことは容易ではありません。ですから、従来の薄利多売のビジネスモデルは成り立たず、厚利少売へのシフトを急がなければいけない。お客さまに付加価値を感じていただける商品・サービスを提供することで、しっかりと利益を確保する戦略を推し進めます。
――高付加価値化はどう進めていますか。
坂下「商品の差別化」「人材教育」「指名につながる認知度」の三本柱を軸に、メーカー、サロン、代理店の三位一体で高付加価値化に臨んでいます。まず商品の差別化では基礎研究を重視。商品開発だけでなく、より根本にある研究に力を入れることで、本質的な差別化を図っています。例えば、23年12月に東京・羽田に設立した「イノベーションセンター」では、従来と異なる視点として美容に関わる〝感情〟や〝行動変容〟に着目した研究を始めています。美容は「可愛くなりたい」「きれいになりたい」といった感情から始まるビジネスだからです。見た目だけでなく、その人の行動がどう変わるのかに注目しており、研究成果は商品開発や教育など多様なジャンルで生かしていきます。
――人材教育に関してはいかがでしょうか。
坂下 ヘアケア、コスメティクス、カラー、デザインロジックの4カテゴリーで専門性を高める教育プログラムを展開しています。各分野で学びを深め、最後のテストに合格した人には「ソムリエ」の称号を授与。このプログラムを社内育成に活用するサロンも多く、提案力や接客力の向上につながっています。さらに三つのソムリエ資格を取得した方を対象に、店舗での実績も審査対象とした上位認定「ビューティソムリエ」も導入。最近では、来店体験の質を高めるためにレセプション向けの教育プログラムも開始しています。
――三つ目の認知については。
坂下 私たちの理想は、予約の段階でブランド指名される状態をつくることです。その流れを自然につくるには、ヘアスタイルやメニューに名称を付けて、メーカー、サロン、予約サイトそれぞれで発信することが必要です。認知が高まることで、お客さまもより選びやすくなり、高付加価値の商品、サービス、メニューの定着につながると考えています。
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