ライオンは2025年4月24日、小田原工場内に医薬品新工場を竣工した。

テープカットの様子。

一般用医薬品市場は、人々の健康意識の高まりを背景に、堅調に推移している。そこで同社は将来にわたって、より安定的な生産供給体制を確立するために、生産インフラなどを強化し、生産能力の増強を実現する。また、新工場は環境にも配慮しており、脱炭素社会の実現に向けて引き続き取り組んでいくとしている。新工場の特長は四つ。

(1)生産能力の増強

一般用医薬品市場はコロナ禍における人々の健康意識の高まりや、高付加価値品の伸長などを背景に、堅調に推移している。同社は経営ビジョンとして「次世代ヘルスケアのリーディングカンパニーへ」の実現に向けた取り組みを進める中で、小田原工場は稼働から一定の年数が経過していたことから、将来にわたって、より安定的な生産供給に向けて工場を新設した。新工場では原材料などの搬送自動化や、生産プロセスの効率化などにより、生産能力は約1.4倍に増強となる。

(2)省エネなどの環境対応~「ZEB Ready」認証の取得~

新工場では一次エネルギーの消費を50%削減することで、建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)の「ZEB Ready」認証をライオンの工場で初めて取得した。ZEBとはNet Zero Energy Buildingの略。快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のこと。ZEBには省エネ性能の高さによってZEB、Nearly ZEB、ZEB Readyおよび延べ面積が10,000㎡以上の建物を対象としたZEB Orientedの4種類がある。

また、熱源をガスボイラーではなくヒートポンプチラーにすることで、CO2排出量の低減も図っている。

(3)海外輸出を見据えた国際基準PIC/S GMPに対応した製造管理

同社はアジアを中心に習慣づくりを通じた社会価値、経済価値の創出を目指しており、海外成長施策の強化を掲げている。小田原工場は今後、一般用医薬品の海外輸出の製造拠点としての役割も担うため、国際基準PIC/S GMPのガイドラインに準拠した製造管理の工場に生まれ変わる。

(4)従業員の働きやすさに寄り添った休憩室の設置

従業員同士のコミュニケーションをより活性化させるために、立ち寄りたくなるような空間の休憩室を新たに設置した。