日焼け止めは花王が躍動
界面活性剤の技術力で群を抜く花王は、得意の洗顔で強さを見せつけている。特に「ビオレ」の洗顔料「マシュマロホイップ」は、手で泡立てなくても濃密な泡がポンプを押すだけで出てくる便利さでヒット商品になった。低価格で手に取りやすいため、リピーターが多く、本体よりも詰め替え用が売り上げを支えているのも、人気商品の証しだ。
同じく「ビオレ」の「スキンケア洗顔料」も「洗うスキンケア」のコンセプトが支持され好調な売れ行きを見せている。しっとりなめらかな肌を目指せる「モイスチャー」、しっとりもちもち肌を目指せる「リッチモイスチャー」の販売量は顕著な伸びを見せている。
クレンジングでは、花王の乾燥性敏感肌向けブランド「キュレル」が強い。肌の必須成分「セラミド」を守りながらメイクを落とすのが最大の特徴だ。ビオレのクレンジングも人気商品で、詰め替え用が売れ筋という。キュレルもビオレと同様、詰め替え用の販売量が伸びている。つまりキュレルとビオレはともに、花王の技術力を用いた高機能性が商品力の要。それを武器に愛用者を増やし続けていることがうかがえる。
日焼け止め市場は前年比8.4%と順調に拡大している。その背景には、外出機会の増加や夏の酷暑などにより、老若男女問わず紫外線対策を意識する生活者が増えていることにある。日焼け止めの効果実感は、肌が黒くならないことに尽きる。それには正しい使い方を守ってもらうために、塗り直ししやすい利便性が高いことが必要だが、そこで一頭地を抜くのが花王の「ビオレUV」シリーズだ。
23年発売の「ビオレUV アクアリッチ アクアプロテクトミスト」は、「瞬感ミストUV」のコンセプトが大当たり。霧のようなミストを浴びると、素早く乾いてムラなく密着。いつでもどこでも紫外線対策が気軽にできる利便性が支持を得た。しかも素肌のうるおいを守り、濡れつや肌が続く効果もあり、顔・からだ用だが髪にも使えることが、外出時にカバンに入れるマストアイテムとして定着。24年も売れ続けたという。
さらに24年発売の「ビオレUV アクアリッチ ウォータリーエッセンス」もヒットした。塗り直しても重ねても、感動的に軽い水感の日焼け止めで、ミクロレベルのスキマまで塗りムラを防ぐから効果実感も高い。化粧下地にも使える利便性も備えている。夏だけでなく年中使用する人が増えたため、一年を通して堅調な売れ行きを見せたという。
セルフスキンケア市場を席巻するロート製薬と花王の共通項は、技術を生かした商品を発売し、その効果実感が口コミで拡散していることだ。肌に直に塗るスキンケア商品だけに「国内に研究所を持つ企業から生まれた製品を推薦したい、というインフルエンサーが増えています」(ロート製薬)という。これからも研究開発力と、その価値を伝えるコミュニケーション力が勝負の決め手になりそうだ。★
月刊『国際商業』2025年04月号掲載
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