エステーは、カーコーティング事業などを展開する、KeePer技研との協業により、KeePer技研のカーコーティング技術を活用した、シティホテルやビジネスホテル向けの新事業を開始する。
エステーでは19年2月よりホテルや旅館向けの客室専用消臭ミスト「Air Forest(エアフォレスト)」を展開してきた。新たに始まる事業では、ホテルの浴槽や浴室を独自のガラス被膜でコーティングすることで、客室清掃業務の負担を軽減し美観を維持するサービスを展開する。このサービスは、グループ会社のエステーPROを通じて、2025年2月から新たに開始する予定だ。
アフターコロナにおけるホテルの宿泊客数は、インバウンド需要によりコロナ前を上回るほどの増加を続けている。客室稼働率が高まる一方で、浴室などの水回りの清掃は重労働かつ時間がかかり、清掃スタッフの負担が大きくなっていることが問題となっている。また、経年劣化への定期メンテナンスの面でも、浴室設備の入れ替え(約10年に1度)や再生塗装(3~5年に1度)には数日から数週間の工期が必要であり、その間は客室の稼働を止めることになるため、対応が難しくなっている問題も生じている(エステー調べ)。
こうした問題を受けて、エステーPROとKeePer技研がタッグを組み、ホテル浴室の浴槽内、エプロン、シャンプー台、壁面、シャワーヘッドなどを、年に1回、客室の稼働を止めることなく短時間で施工できる浴室コーティング事業を新たに展開する。
浴室専用のコーティング剤を施すことで、「汚れがつきにくい」「落としやすい」「拭き上げが楽になる」など、清掃スタッフの業務負担を軽減するとともに、美観の回復と維持を可能にし、施設利用者の満足度向上を目指す。
浴室専用コーティング剤「お風呂キーパー」は、独自のガラス被膜を形成することで、水垢、皮脂汚れ、カビなどの汚れがつきにくくなる。施工を行う際は、まず専用クリーナーでコート前処理を行う。その後、「お風呂キーパー」を使用してコーティングを施す。施工後は、1~2時間ほどで浴室の使用が可能となる。これにより水滴の拭き上げが楽になるだけでなく、小傷を埋めて光沢を復活させ、新たな小傷や劣化を防ぎながらきれいな状態を保つことができる。また、滑りにくくすることで転倒抑制にもつながる。
浴室コーティングの施工にあたっては、事前研修を修了し、KeePer技術修得の認定を受けた実務経験豊富なパートナー会社によって実施される。このサービスは、これまでの製品販売ではなく、業務用事業の拡大を目指して、施行業務までを一貫して行うB2Bならではのサービスとなっている。
KeePer技研は、車の塗装を傷めることなく、本来の艶を引き出して守る「キーパーコーティング」をはじめ、施工技術と品質を高める、オリジナルの洗車用ケミカルや機器の開発・製造・販売を行っている総合カーコーティング企業だ。全国に6597店舗のカーコーティング技術認定店「KeePer PROSHOP」を展開するほか、直営127店舗(25年1月現在)およびFC16店舗のカーコーティング&洗車専門店「KeePer LABO」の運営をしている。
エステーでは、12年からKeePer技研のプロ仕様のクリーナー類、カーシャンプー、拭き上げクロス、ヘッドライトクリーナーおよびコーティング剤などの製品をカー用品量販店に向けて販売する業務提携を結び、一般消費者向けのB2Cを展開してきた。このような実績を基に、新たな事業展開としてB2Bとなる今回のホテル向け浴室コーティング事業での協業が実現した。このホテル向け浴室コーティング事業は、2027年までに売上高4億円を目指す。