最近、編集ノートを読む人が多いことを知り、驚いた。特に先月号に書いた韓国政府の支援策は、あれ読みました、とあちこちで声をかけられた。ありがたいと思う半面、参ったなという気持ちもある。じつはほんの一握りだが、化粧品業界の関係者で私の家族を知る人がいる。娘や息子との生活から学んだことを、ちょっとした業界の変化に添えて載せているのは近況報告を兼ねたもの。こんなに大勢が読んでいるなら、もう気軽に書けないな、と思った次第だ。とはいえ、生活者からの学びには価値があるから、その最も身近な家族からヒントを得るのはやめられない。働く車が大好きな2歳の息子は「トミカ(ミニカー)」の蒐集家。先日、観光地のファミリマートにトミカ売り場があった。2歳児には届かない高さだったから、訪日客に精巧な日本製を訴求するためだろう。めざとく見つけた息子は抱っこをおねだり、じっと見つめて楽しんでいた。男性客が入りやすい専用売り場を作った化粧品専門店パルファン。売り上げは伸び続けているが、それ以上に夫婦、親子での来店が増え、全体の購入金額が上がったようだ。男性需要は都市圏の話――という声に対して、パルファンの野村和弘社長は「むしろ地方の方がブルーオーシャン」という。賃料が安く、数坪を黒基調の壁面に変えるだけで、地方では数少ないメンズ売り場になる、と。「地方店の方がコストはかからない」と野村社長は〝やらない言い訳探し〟を一喝する。そういえばファミマのトミカ売り場も手作り感が満載だった。やってみたら訪日客と2歳児が反応したということか。断続的な挑戦を支えるスモールスタートの重要性を肝に銘じたい。

月刊『国際商業』2024年12月号掲載