この11月、娘が3歳になった。祖父母からのプレゼントにご満悦。言葉を覚え始めているから会話が楽しいのは、お互い様らしい。先日、久しぶりに化粧品専門店の経営者と一献傾けた。彼は自宅で飲む回数が増え、久々の会食とのこと。情報交換の機会が極端に減り「業界紙を読み込むようになりましたよ」と笑っていた。会話はアイデアの源だ。彼と話した数時間、あれをやろう、それはやめよう、あの人に会いに行こう、とたくさんの約束を交わした。ちらっと口にした新業態開発の話は目が爛々と輝き、自社との協業を出しに商談している企業には憤りに近い目をしていた。コロナ禍でも失わない情熱に触れ、強い化粧品専門店は相変わらず強いことを思い知らされた。業界人の一人として心強い。ただ、気になったのは、あるメーカーの施策について「営業の担当者は、本社ほど熱が入っていない。うまくいくと思えない」という彼の言葉だ。化粧品専門店のために、とメーカーが考え抜いた施策だろうから、吉報を待っていたが、コロナ禍による本社と現場の分断がマイナス要因になっているのかもしれない。いかなる場面でも会話が大事であることを物語っている。娘は祖父母に何をおねだりしたのだろうか。その答えは、クリスマスごろに明らかになる。

月刊『国際商業』2022年01月号掲載