ロイターの報道によると、米国グーグルは継続的な在宅勤務と出勤で賃金を変えることを検討している。地域ごとに報酬体系を決めてきたことが理由だ。日本ではヤフーが2021年11月までに東京都内のオフィスを約4割縮小するという。賃金に対するグーグルの考え方は、都道府県別で最低賃金が定められている日本でも議論が交わされるのではないか。実際、コロナ前から柔軟性の高いワークスタイルを導入しているP&Gジャパンは、コロナ禍の働き方を振り返り、オフィスの活用方法について再検討に入っている。人間の動き方で化粧品、日用品の需要が増えたり、消えたり、あるいは新しい需要が生まれるのは、新型コロナ禍で目の当たりにした。デルタ株が猛威をふるう昨今は、感染者数が増加の一途だが、いつかは沈静化する。コロナ禍のニーズに応え、目先の売上高、利益を確保するのは大事だが、その商品、サービスを習慣化する取り組みはいささか弱いように思う。それではコロナ特需に振り回され、結局は消毒液やハンドソープ、マスクなど一部商品の需要が高止まりするだけになる。コロナだからこそ売れたものを使い続けるように育てる。それはアフターコロナを見据えた長期投資ではないか。

月刊『国際商業』2021年10月号掲載

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