厚生労働省は5月26日、人口動態統計の速報値を公表した。2023年1~3月の出生数は、前年同期比5.1%減の18万2477人。昨年は1899年の統計開始から初の80万人割れが話題になり、少子化対策、子育て支援策の強化が連日ニュースになっているが、婚姻数も下げ止まりしていないようで、出生数が上昇する見込みはあまりない。後手を踏み過ぎた日本の少子化対策は、今後の国内市場にとって暗雲であることは間違いない。「最もブレないのは人口推計だから、これに基づいて成長戦略を考えるのは当たり前」とは大手日用品メーカーの経営企画を引っ張った方の言葉。そして別のメーカートップは「世帯数減も加速度的に進み、節約志向は根強い。今後も挑戦は続けるが、国内市場の活性化は打ち手がなく、相当厳しい時代が続く。一段と海外で稼ぐ力が問われる」と会見後の雑談で本音を漏らした。化粧品の場合はメンズ需要の顕在化がしばらく支えになりそうだが、単価アップは業界人の希望通り進むだろうか。景気が低迷したり、ライフステージの変化により財布の紐が固くなれば、節約のターゲットとして化粧品は狙い撃ちになるかもしれない。そうなると、やはり海外需要の取り込みは重要になる。次号の特集では、再燃インバウンドをテーマに化粧品メーカー各社の創意工夫を発信する予定だ。
月刊『国際商業』2023年07月号掲載