2020年は新型コロナに振り回された1年となった。年の瀬のニュースを読む限り、平時を取り戻すには時間がかかりそうである。各社のトップが口をそろえるのは、ピンチをチャンスに変えること。その拠り所として、企業理念、創業理念への原点回帰を言葉にする場面が増えた。いまや古典の一つだろうが、1995年発刊の書籍『ビジョナリーカンパニー』(日経BP出版センター)には「状況が変わって、この基本的な価値観のために業績が落ち込むことがあっても、それを守り抜こうとするだろうか。心からイエスという答えを出せないのであれば、それは基本的なものではなく、削除すべきだ。(中略)基本理念は、つくりあげることも設定することもできないのだ。基本理念は見つけ出すしかない。内側を見つめることによって、見つけ出すのである。(中略)基本理念以外の点はどんな点でも、自由に変えられると考えるべきだ」と記している。改めて、日本の化粧品業界、日用品業界を見渡せば、創業の精神が明確な企業が多く、その内容も多彩だ。21年は、これまでにない個性的な施策が飛び交うことを期待したい。

月刊『国際商業』2021年02月号掲載