資生堂は、世界で初めてツバキ種子発酵抽出液が、皮ふの老化細胞を除去する機能をもつ免疫細胞CD4 CTL(メモリーT細胞)を誘引するCXCL9(免疫細胞などの細胞の遊走を促進するタンパク質)の発現を高めることを発見した。つまり、ツバキ種子発酵抽出液によって皮ふの免疫細胞による老化細胞除去効果が高まることが期待される。

資生堂はこれまで、マサチューセッツ総合病院皮膚科学研究所(以下:CBRC)との共同研究により、CD4 CTL (メモリーT細胞)が皮ふにおいて老化細胞を選択的に除去することや、表皮角化細胞から産出されるタンパク質CXCL9がCD4 CTL (メモリーT細胞)を老化細胞がある場所まで誘引する因子であることを見出してきた。

今後も、皮ふの免疫研究をさらに発展させ、免疫細胞をケアすることで、年齢にとらわれない肌本来の美しさへつながる価値創出を目指す。

研究データは以下の通り。

CD4 CTL (メモリーT細胞)を誘引する因子であるCXCL9のタンパク質の発現を評価した結果、ツバキ種子発酵抽出液が表皮角化細胞においてCXCL9の発現を促進していることを発見した。

ツバキ種子発酵抽出液は、長崎県五島列島に古くから自生するヤブツバキ資源を有効活用するために、日本酒造老舗のヤヱガキ酒造と共同で開発した。資生堂は長年、ツバキの種子、花、葉など様々な部位に価値を見出してきた。さらに、ツバキ油の製造過程で通常その多くは廃棄されるツバキの種子の搾りかすをアップサイクルし、日本の発酵技術を掛け合わせた抽出物が、CXCL9の発現を促進することを発見した。日本酒の発酵で使われる数ある麹菌の中でも、タンパク質をアミノ酸に分解するプロテアーゼを多く含む黄麹(Aspergillus Oryzae)を選りすぐり、ツバキ種子の搾りかすに最適な発酵条件を検討した結果、美容成分のもとであるアミノ酸を格段に増やすことに成功した。