ブランド体験の場とし高質品を積極展開

「とても稀な戦略だと思います」とコーセートラベルリテール営業部アメニティ担当の稲川順部長は話す。アメニティの業務用市場といえば、施設のグレードに合わせて価格帯別に専用ブランドを展開するのが常套手段。ところが、コーセーはデコルテ、プレディア、雪肌精、ジルスチュアート、スティーブンノルと、いずれも一般市場と同じブランドを展開。2024年1月、7年振りに発売したアメニティの新ブランド「NATURE&CO(ネイチャーアンドコー)」も、ホテルへの提案から始めているが、当初から一般市場投入を視野に入れている。すでにコーセーはアメニティ専用ブランドを廃止。商品数も35SKUと大きく絞り込んでおり、これも他社と大きく異なる点だ。

24年1月から展開を開始した「ネイチャーアンドコー」

コーセーが競合と真逆の戦略に舵を切ったのは、アメニティをブランド体験の場と位置付けているからだ。大手化粧品メーカーの強みは、店頭のカウンセリング販売で美容部員を通じて化粧品の魅力である香りや感触を伝えることにある。だが、コロナを機に化粧品の買い方は変わり、ECでリピート購入する人も増加。ものづくりにこだわるコーセーにとって、ホテルや温浴施設、ゴルフ場などは、商品の品質を伝える重要な接点になっている。

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