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市場活況にひそむ三つの課題

ペット関連市場が活況だ。富士経済によれば、2023年の同市場は前年比9.7%増の6139億円。内訳は、フードが同11.9%増の4754億円、ケア用品が同4.3%増の905億円、生活用品が横ばいの481億円である。市場拡大の要因は、高品質・高付加価値商品の需要拡大。ペットは単なる愛玩動物ではなく、家族の一員の伴侶動物(コンパニオンアニマル)として考えられるようになり、食や健康管理、生活環境など、多様なカテゴリーで質の高い商品、サービスが求められている。この傾向はコロナ禍でさらに高まり、「景気が悪くなっても、ペットへの支出は減らせないと考える飼い主は多い」(ペット業界関係者)。ペット愛が下支えする市場は、今後も右肩上がりの拡大が期待できる。

とはいえ、市場の活況とは裏腹に、ペット市場にはいくつかの問題がある。一つは、ペットの飼育頭数がダウントレンドであることだ。「2023年全国犬猫飼育実態調査」(ペットフード協会)によると、犬の飼育頭数、飼育率、新規頭数は減少し、新規の飼育意向率の低下も続いている。17年に犬の飼育頭数を抜いた猫も、飼育頭数、飼育率、新規飼育意向率は横ばいだが、新規飼育頭数は犬以上に落ちている。一方で、犬猫ともに平均寿命は延びており、人間同様の少子高齢化が進んでいる。健康寿命延伸は人間ともども大きな課題となっている。ペットフード協会の児玉博充会長は「都市化、共働き世帯の増加、ブリーダーの減少などの状況に加え、学校動物の減少など動物に触れ合う機会が減少していることも要因となって、飼育頭数、新規飼育意向率ともに減少している」と危機感をあらわにする。

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