新ジャンルを生む美容医療の影響力

肌はやさしくケアするもの―。日本の化粧文化が築いてきたスキンケアの常識が変わり始めた。それを端的に示すのが、チクチク感、ピリピリ感のある「痛い系コスメ」の人気上昇だ。コロナ下のマスク生活で肌あれに悩む人が増加。即効性のある美容医療の経験者が増え、一時的な肌への痛みを許容する動きが広がった。「特に若年層は、美容医療の費用負担が重いため、疑似体験する感覚で強い刺激で攻めるコスメを楽しんでいる」とコスメ・美容の情報総合サイト「@cosme」を運営するアイスタイルの西原羽衣子リサーチプランナーは指摘する。

「痛い系コスメ」の主役は韓国メーカーだ。例えば、VTコスメティクスの「リードルショット」は、天然マイクロニードルが浸透力の落ちた肌でも角層まで美容成分を届けるとうたう。商品構成は50、100、300、700など、数値が上がると痛みレベルが上がる。100でもしっかりピリピリ感があり、「@cosme」のクチコミには「想像以上に痛い」「300以上の痛みはヤバそう」などが並ぶ。痛みという分かりやすい効果実感の表現は、エンタメ要素が求められるSNSとの親和性が高い。美容インフルエンサーなどを通じて、話題が拡散しているのも、ヒット要因になっている。

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